銀河系の重さ
イギリスの科学者キャベンディシュによる実験から
地球の重さが分かったのが18世紀後半です。
その後も天体の重さを測る努力が続けられ、
それは今も続いています。
ちなみに、地球の重さは、
1兆キログラムの一兆倍を1ヨタキログラムと呼んで、
この単位を使って、
5.972ヨタキログラムであることがわかっています。

太陽の重さは地球の重さの約33万3千倍です。
その太陽は、
銀河系という差し渡し数十万光年もある星の大集団の中にいます(図1)。
図でわかる様に、
銀河系は星が渦巻く円盤状の構造を持っています。
この円盤の中に太陽はいます。
しかし、円盤を囲む球体の中に分布している球状星団という天体もあります。
図2はやまがた天文台の望遠鏡で撮影したひとつの球状星団の例です。
球状星団は典型的には数十万個の星が集まったものです。
図1のようにたくさんの球状星団が銀河系の中を動き回っています。

この銀河系の全体の重さはいったいいくらぐらいあるのでしょう。


最近、ガイアという衛星が打ち上げられました(図3)。
この衛星は、星の位置や運動を精密に測量することを意図して作られた
衛星です。
ガイアは星だけでなく太陽から近い球状星団お位置や運動速度も観測します。
ハップル宇宙望遠鏡は遠くの球状星団を観測します。
アメリカのワトキンズさんたちは、
これらを総合して銀河系の重さを最近測定しました。
それによると銀河系の重さは太陽約1.5兆個分の重さだそうです。

非常に地味な測定と計算の結果ですが、これらの値があって初めて、
より重要な宇宙の誕生の謎の解明や、
宇宙が将来どうなるかの計算をすることができるのです。



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図1 銀河系の構造 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/561-fig1.jpg 図2 球状星団の例(提供:山形天文台)
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http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/561-fig2.jpg
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図3 ガイア衛星(提供:NASA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/561-fig3.jpg
本文終わり
パワポ原図 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/561-fig.pptx references http://adsabs.harvard.edu/abs/2018arXiv180411348W Evidence for an Intermediate-Mass Milky Way from Gaia DR2 Halo Globular Cluster Motions \bibitem[Watkins et al.(2018)]{2018arXiv180411348W} Watkins, L.~L., van der Marel, R.~P., Sohn, S.~T., \& Evans, N.~W.\ 2018, arXiv:1804.11348