きらめく夜空
私たちが普段見ている星は恒星といっていつも変わりなくそこにあるものです。
何千年も前から星座があるのはその普遍性のおかげです。

しかし、最近の天文学ではたくさんの望遠鏡が設置され、
たくさんの天文学者が観測しているので、
突然光り出すような星が意外と多くあることがわかってきました。
それらは興味を引く天体であることが多いので、
今度は全天監視望遠鏡を開発しようということになり、監視望遠鏡が作られました。
急に光を発する変な星はいないかと天文学者は監視望遠鏡の映像を調査するようになりました。

事件が発生すると監視カメラの映像が犯人逮捕に活躍しますが、
夜空もまったくそのような状況なのです。

AX J1818.8-1559 という天体は、
日本が打ち上げたX線宇宙望遠鏡「あすか」が
1996年から1999年にかけて天の川にそったX線星の地図作りをする中で発見された天体です。
その後、忘れられていたのですが、2007年9月17日に以前観測された時の10万倍もの明るさで輝きました。
たった、0.8秒間の出来事です(図1)。
図1に書かれている15-40keVとか40-100keVという数字からわかるのですが硬いX線とよばれる高エネルギーの光りでした。

ちょっと大げさな言い方かもしれませんが、夜空は毎日が花火大会のような状況なのです。
夜空のあちこちで光のフラッシュがあり、強さも、継続時間も、方向も様々です。
肉眼でなくていろいろ特殊な望遠鏡を使えばということなのですが。

改めて AX J1818.8-1559 の位置をXMM-ニュートンとよばれるあすかよりも空間分解が良くできる望遠鏡で
見たのが図2で確かにX線星が写っています。
この時は太陽の十倍程度の明るさで2007年の爆発時よりも暗くなっていました。

ではなぜ10万倍もの明るさになったのでしょう。しかも、たった0.8秒。
現在一番可能性の高い考えは、この星はマグネターだろうという考えです。
マグネターは太陽黒点の1兆倍もの強い磁石を持つ天体で短い時間の大きな爆発を起こせる唯一の天体だからです。
しかし、まだ確証がないのでさらなる観測を待っているところです。
想像もつかないような新種の天体かもしれません。


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図1 AX J1818.8-1559 の爆発時のX線強度の変動の記録 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/563-fig1.jpg
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図2 XMM-ニュートンによる映像 (図1,2ともにメレゲッティーさんらの研究より[Astronomy and Astrophyics 誌]) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/563-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/563-fig.pptx references Mereghetti, S., Esposito, P., Tiengo, A., et al. 2012, AAp, vol. 546, page A30 http://adsabs.harvard.edu/abs/2012A%26A...546A..30M 所属 INAF 英語訳はNatinal Institute for Astrophysic 国立天文研究所