元素をばらまく
「私たちは星の子」と言われることがあります。
文字通り星から私たちは生まれたという意味です。

私たちの体を作っている炭素・酸素・窒素などの多種の元素はもともと宇宙にはありませんでした。
最初は、水素とヘリウムの2種類が主成分でした。
わずかにリチウムという元素もありましたが、
初期の宇宙にあったのはそれだけです。

例えば、
水は酸素と水素からできています。
水素はいっぱいありますが、初期の宇宙には酸素がないので宇宙には水が存在しません。
水だけでなく、
デンプンや脂肪、タンパク質など私たちの体を作るために必要な成分は初期の宇宙にはなかったのです。

最初はなかったのに、今は色々な元素が存在します。
すると、どこかで元素が作られたことになります。
その元素の製造工場が星だというわけです。

宇宙で水素ガスを主成分とするガスが集まって星を作ると、
星の中心部で核融合反応が起きて新しい元素が合成されていきます。
星は最後に超新星爆発と呼ばれる爆発を起こし、合成した元素を撒き散らかします。
その撒き散らかされたものを材料にして新しい星が生まれます。
今度生まれた星、第二世代の星は水素ガスだけでなく炭素、酸素、窒素、そして他の諸々の元素を含んでいます。
その星の周りのガスから私たちの地球も生まれ、生命も生まれました。

このことが正しいことの証拠を天文学者はたくさん持っています。
そのうちの一つが図1です。
これはカシオペヤAと呼ばれる超新星爆発の後の姿で、星がバラバラになって、
爆風に乗って様々な元素が飛び出てきます。
膨張するガスが発する光の中に、
色々な元素が出す特有の光が含まれています。
図1の赤い画像はケイ素からの光、黄色はイオウからの光、緑はカルシウムからの光、
紫は鉄からの光です。爆風で電子が加速されエネルギーをもらうので電子からの光も青で示しています。
図にはありませんが、炭素からの光、酸素からの光も見つかっています。

このようなしっかりした証拠がたくさん見つかっていて、
星の中で元素が作られ宇宙空間にばらまかれていることは確かなことと考えられています。




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図1 超新星爆発の残骸、カシオペヤA (提供:NASA, チャンドラ宇宙望遠鏡) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/574-fig1.jpg
本文終わり
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