かみのけか麦の束かばら
梅雨の頃の星座といえば、「か」で始まる三つの星座があります。
いずれもこじんまりとして見つけやすい星座です。
かみのけ座、かんむり座、カラス座です。

かみのけ座は見つけることができると、髪の毛という名前は上手につけたものだと、感心させられる星座です。
たくさんの小さな星々がひしめいていて本当に髪の毛の様に見えます。
ただし、街明かりのない暗い夜空のあるところに移動して見つけてください。
図1 で示した様に、北斗七星から
アークトゥルスとスピカという一等星に伸びる
春の大曲線(青い点線)の内側にある微光星が集まった場所がかみのけ座です。

星座に関する物語の多くは実話ではありませんが、
かみのけ座のお話は実在した王と妃の話です。
王の名はプトレマイオス3世(在位、紀元前246年-221年)、妃の名はベネリケ2世です。
妃は、シリアとの戦争に出た王が勝って凱旋すれば美しい自らの髪の毛を美の女神アフロディテに捧げると誓いました。
そして、王の勝利を聞くとベネリケは髪の毛を切って祭壇に奉納します。
それが翌朝消え失せ、星座になっていたと伝えられています。

私にとってもっと重要なのはバイエルの星図にはかみのけ座の星座絵が麦の穂の束になっていること、
そして、なぜか名称としては薔薇が採用されていることです。
現在使われている星座は全部で88ありますが、植物の星座は一つもありません。
不思議なことですが理由は全くわかりません。
それで、昔の星座で植物はなかったかを探し求めていたのです。
今回この記事を書くにあったって、かみのけ座を調査したのですが、
偶然にも植物の星座を見つけることができたのでした。


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図1 7月上旬午後8時頃の夜空 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/577-fig1.jpg
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図2 バイエル星図のかみのけ座のあたりの拡大図(提供:リンダホール図書館) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/577-fig2.jpg
本文終わり
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