月に水が?
アポロによる月着陸50年を経て、
最近月面に基地を作るというようなことが話題になっています。
月の南極、北極のあたりは太陽の強い日差しがなく大量の氷が蒸発することなく眠っているのでないかと考えられていて、
それを利用する計画のようです。

しかし、月の極の氷を採取した例はなく、
氷があるというのは単なる想像の産物なのでしょうか、それとも何らかの根拠があるのでしょうか。

今日は簡単にわかる証拠をご紹介しましょう。
図1のように高速に加速したテニスボールをぶつける実験を考えます。
左の1のように巨大な地球にボールがぶつかれば100パーセントのパワーで跳ね返ってくるでしょう。
しかし、相手が2のようにサッカーボールの場合はどうでしょう。
サッカーボールはテニスボールの勢いに負けて少し動くでしょう。
サッカーボールが動いたので、そのぶんテニスボールは勢いを失って反射します。
さらに、右端の3のように、相手がテニスボールの時はすごい勢いで相手を弾き飛ばします。
結果として飛んできたテニスボールの方は勢いをなくして、ほとんど止まってしまいます。
このようにぶつかった結果は相手の重さによって違いが明らかです。

以上まとめると、速度をもったボールが何かにぶつかる時、
相手が自分より重い場合大きく反射しますが、相手が自分と同じくらいの重さの時は相手が吹き飛び、
自分自身は勢いを失います。

宇宙空間ある月には常時大量の宇宙線と呼ばるエネルギーの大きな粒子がぶつかってきています。
ぶつかると中性子という粒子を発生し、それが周りの原子にぶつかりなが反射されてできています。
ぶつかる相手が岩石のように重い原子からできていれば、勢いをもったまま月から反射して出てきます
(図1)参照。ところが、岩石でなく水や氷のように水素原子が多く含む場合は、中性子と水素原子はほとんど同じ重さなので、
中性子の勢いはなくなり強い反射はありません。

月を周回する探査機で月から反射されてくる中性子を測定してみると、極近くで弱まりどうも水のように軽い元素を含む物質がありそうだと
わかるわけです。
「かぐや」という月探査機を日本は打ち上げました。
他にもたくさんの月探査機が月面の軌道で中性子を測定いて、月の極には氷がありそうだという結論になりました。

このようにテニスボールの反射の仕方といったちょっとしたことがヒントになって探査が進むのは面白いですね。







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図1 ボールの反射の仕方 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/582-fig1.jpg
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図2 月探査の方法(Jaxa提供の「かぐや」による月面の映像を改変) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/582-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/582-fig.pptx