天狗は星?
天狗(てんぐ)というと、赤い顔をして鼻が高い妖怪かお化けのようなイメージですが、正体不明の想像上の生き物ですね。
昔話にはよく登場して、羽うちわや太鼓で鼻が高くなったり低くなったりする魔法のアイテムを持っていたりします。
また、隠れ蓑も天狗のアイテムで、それをかぶると姿が消えるので色々便利です。
昔話では天狗を騙して隠れ蓑を奪っていたずらをするという話に人気があります。

しかし、天狗というのは一体何でしょう。
天文学者としては「天」という字が気になります。
例えば、 中国では天狼というのは全天で一番明るいおおいぬ座のシリウスという星のことです。
もしかしたら天狗も星の名前でなないかいう期待が膨らみます。

皆さんは流れ星を見たことがあるでしょうか。
たくさん見ると流れ星には暗いもの明るいもの、ゆっくり流れるもの、素早く流れるもの、色のついたものなどいろいろあることがわかります。
宇宙から地上に降ってくる砂つぶのようなものが大気に突入するときに光るのが流れ星です。
ときにはその粒が大きくて、日中でも見えるほど明るい流れ星があります。大きな音がしたり、煙のようなものを後に引いたり。
このような大きな流れ星を火球といます。

大きな火球が落ちてきて轟音が聞こえたとき、あれはなんだと聞いたら、あれは天狗だと中国の僧が教えたという話が日本書紀にあるそうです。
中国では、大きな流れ星が轟音とともに落ちてきて、それとともに天から災いを運んでくるのが天狗だと考えたようです。

天から駆け下りてくる天狗に近いイメージの星座を探してみました。
狐ではなく猫になってしまったのですが、やまねこ座が一番近いように思います。
図2はやまねこ座とおおいぬ座の星座絵の例です。
ちょっとおっかない顔をした動物がゴーという音とともに空から地上に降りてくる感じです。
これが天狗の原型です。




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図1 天狗の隠れ蓑(日本昔ばなしNo.85)これは著作権上使えないかもしれません。天狗の面やそれ以外、天狗のイメージで著作権フリーのものを 検索していただけませんでしょうか? http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/583-fig1.jpg
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図2 やまねこ座とおおいぬ座(提供:Linda Hall Library) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/583-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/583-fig.pptx references will be note-583