星=筒?
江戸こばなしにこういうのがあるそうです。

ある夜、親父と息子が縁側で月を眺めていると(図1)、
「おとっつぁん、、、」
「なんだ」
「空に丸い大きな穴が空いてるね」
「バカっ、あれはお月様だ」
「ふーん」
しばらくすると、また、
「おとっつぁん、、、」
「なんだよ」
「小さな穴がいっぱい空いているけど、あれは雨の降る穴かな」
親父はため息をつきながら、
「あーぁ、バカにつける薬はないっていうが、本当だな」
「そんな薬があったら、高いだろうね」と息子。

初めてこれを読んだ時、正直なんでこれが面白いんだろうと思ったのですが、
あらためて星空を見ると、確かに星が天に開いた穴に見えてくるのでした。
かなりリアリティを持ってそう見えます。
みなさんもぜひ次回お試しください。
本当に穴が空いているように見えます。

天に大きな蓋のようなものがかぶさっていて、その上に天国があるという考え方は色々な古代民族であるそうです。
太陽がいなくなると暗くなり、天井に空いた小さな穴から天上界の明るい光が漏れてくるのが星だというわけです。

流れ星は天井が一瞬大きく裂けた時に見えるもので、その瞬間には天に住む神様からこちらが見えるので、
この瞬間に願い事をすると叶うのだそうです。

平安時代の文献によると、宵の明星(金星)を「夕づつ」と呼んでいたことがわかります。
この例から想像して、星はつつ(筒)のことで、丸天井に筒のようなものがさしてあってそこから光が漏れているのを星と考えたのでないか、
という説があります。
しかし、 私も色々と調べたのですが、「つつ」が星の意味であった例が他に見当たりません。
それなので、この説が正しいかどうか私の中では不明のままです。
みなさんはどう思われますか。




画像をクリック(拡大)

図1 11月11日午後6時30分頃の東の空。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/592-fig1.jpg
画像をクリック(拡大)

図2 昔の人の考えた天の姿。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/592-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/592-fig.pptx references 江戸こばなし、岡本和明、今泉真理子、フレーベル館 2005 ウノ・ハルヴァ(田中克彦訳)「シャマニズム アルタイ系諸民族の世界像、。三省堂、1971