七五三
子供の成長と健康を祝う、そして、願う行事の七五三は11月15日です。
昔は旧暦で、現在の太陽暦の11月15日ではありませんので、
特にこの日と特定しないで、
10月から12月にかけてお祝いのできる日に行うという方が多いようです。

なぜ、11月15日かというような問題になるといつも天文学が登場します。
ここで、大切になってくるのが月の動きです。
図1は今日午後9時頃の東の空(左)と明日の空(右)を比較したものです。
間違い探しのクイズのようですが、違いはなんでしょう。

月の位置が変わっていますね。
すばる(昴)とおうしの頭のアルデバランの間にあったものが、
アルデバランとオリオンの間に移動しています。
このように月は毎日約13度づつ移動していきます。
月の公転周期である27.32日で星空を一巡します。
そこで中国では、空に二十八宿を設け、月が1日に宿を一つづつ巡るという風に考えました。
図2の様に、一日に宿を一つづつ移動していくわけです。
インドもこれを取り入れましたが二十七宿を用いています。
いずれにせよ月の周期や満ち欠けは整数では表せないので少しづつずれてしまうのは仕方ありません。

さて、七五三ですが、この行事ができた江戸時代の初期は宣明暦が使われていて、
旧暦の月日のそれぞれに二十七宿が割り当てられていました(宣明暦はインドの経典に準拠していましたので二十七宿です)。
さて、二十七宿の中で一番縁起が良いとされるのが鬼宿です。
そして、鬼宿に満月がやってくる11月15日が最高に縁起が良い日ということになります。
当時の暦には「寄宿日(きしゅくにち)、よろずよし、ただし、婚礼には忌むべし」と書いてあるそうです。

なぜ、七五三がこの日かということには諸説ある様ですが、特に有名なのは、
徳川三代将軍家光の四男徳松(のちの綱吉)の身体が虚弱だったので、
五歳の祝いを慶安三年の11月15日に行ったというのがはじめだという説です。

いずれにせよ、月が毎日約13度づつ移動していく様子を味わっていただけたら嬉しいです。
これに合わせて、太陽との位置関係も変わるので月の形も変わります。









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図1 今日と明日の午後9時ごろの東の空(Stellariumを用いて作図) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/595-fig1.jpg
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図2 月は毎日一つづつ宿を移動します。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/595-fig2.jpg
本文終わり
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