ブラックホールが星形成を遠隔操作
銀河のなかにあるガスが収縮して星が生まれますが、
面白いことに、銀河の中にあるガスはその多くは収縮しそうで収縮せず、
星ができそうでできないというなんだか中途半端な密度で存在します。
周りからちょっと押されるというような、ちょっとした刺激があると、
急に万有引力で収縮を始め、何百という星が一気に誕生します。
なんだか恋が始まる直前のカップルのようで、
ちょっとしたきっかけが重要になります。

そのきっかけとして巨大ブラックホールが一役買っている例が、
イタリアのギリさんらの研究で最近明らかになりました。
図1が証拠の画像です。
図2に説明をつけました。
手前にたまたま居た星(オレンジ色)のすぐそばに巨大ブラックホールが居ます(青い丸)。
ブラックホールから勢い良くジェットが二方向に出ています(青い矢印)。
左の矢印の終端が青く光っています。
ここでエネルギーが注入され、赤くみえている高温のガスが膨らんていきます(赤い丸)。
赤い色はX線望遠鏡の画像で100万度もある高温のガスです。

高温のガスによって4つの銀河が強く圧縮を受けたようなのです。
その結果として銀河の中のガスが収縮しはじめ大量の星が生まれています。
4つの銀河で星が大量に誕生している様子はこの画像からははっきり見えませんが、
別の詳しい観測で確かめられています。

ブラックホールが仲人になってたくさんの星たちが誕生するということもあるようです。
ブラックホールから星形成銀河までの距離は100万光年以上もあり、
ブラックホールの影響が100万光年以上に及ぶということです。
すごい影響力ですね。







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図1 QSO SDSS J1030+0524 のまわりの映像(提供:NASA) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/598-fig1.jpg
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図2 図1の説明 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/598-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/598-fig.pptx references will be note-598 https://arxiv.org/pdf/1909.00814.pdf