ぎょしゃ座
12月の夜7時頃、東の空を見ると、図1の緑色で丸く囲んだ、とても明るい星が見つかります。
カペラです。
この星の周りに将棋のコマのように5角形の星の並びが見つかります。
カペラはオリオン座やおうし座の星々よりもずっと明るくて、織姫星と同じ0等星です。
1等星よりもワンランク上の明るさです。

この五角形は車輪に見立てられたのでしょうか、このあたりは古代メソポタミアで馬車あるいは戦車を運転する者という意味の
名前がつけられていました。
それがラテン語でアウリガ(Auriga)という学名になり、日本語訳がぎょしゃ座となりました。
中国ではこの星々を五車と呼んでいて同じ発想なのが面白いです。
車輪の発明はとても古くて、紀元前2500年頃のウルのスタンダードという工芸品の絵に図2のように描かれています。
この絵は戦場を描いた作品で、これは馬車というよりは戦車だそうです。

ギリシャ神話ではぎょしゃ座はアテネの王であったエリクトニオスとされます。
エリクトニオスは足が悪かったのですが、4頭立ての戦車を作って、戦場を駆け巡ったそうです。
その功績で星座になりました。

ぎょしゃ座の五つの星の一つ、エルナト(黄色い丸)は昔はぎょしゃ座の星でもありおうし座の角の一方
(黄色の点線)でもあり、二つの星座で共有されていました。
ところが国際天文学連合で88星座を決定することになり、すべての星は必ず一つの星座に属することになったため、
共有は許されず、今ではおうし座の星ということになっています。

星座になってもエリクトニオスの足の不自由さがひびいているようで可哀想ですね。
もう少し緩やかにどちらに属する星があってもいいように思いませんか。




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図1 12月18日夜7時頃の東の空 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/600-fig1.jpg
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図2 ウルのスタンダードと呼ばれる絵(紀元前2500年頃、メソポタミア出土:大英博物館提供) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/600-fig2.jpg http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/600-fig3.jpg
本文終わり
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