かに座
かに座は、ふたご座としし座という立派な星座に挟まれて、とても寂しい星座です。
一等星も二等星もなく暗い星たちの集まりです。
よくよく見てもカニの姿を想像することはとてもできないでしょう。

そんなに目立たない星座にもかかわらず、
五千年も昔の古代メソポタミアの時代からかに座は存在していました。
もっとも古いメソポタミアの言語であるシュメール後でかに座はクシュと呼ばれており
水の生き物というのが本来の意味です。
カニ座のある場所を見ると、南側に天の川が流れ、
その流れの中で双子が遊んでいて、内陸部にはライオンがいるという図1のような風景になっていて、
かに座の位置としては自然な感じがします。
もちろんふたご座もしし座もかに座同様に古代メソポタミアの時代からあります。

なぜ目立たない星座なのに古代から注目されて来たのでしょう。
この星座にある注目点の一つは、
ちょうどカニの中央、かにみそに当たるところに、雲のようなモヤっとしたものを持っていることでしょう。
これは非常に気になる存在だったに違いありません。
ギリシャ時代の詩人アラトスというひとは小さい霧と表現し、
現代の英語ではビーハイブ(beehive,蜂の巣箱)と呼んでいます。
昔の人は星雲と思っていましたがガリレオ・ガリレイはこれを望遠鏡で見てたくさんの星の集まりである星団であると報告しています。
現在はプレセペ星団と呼ばれます。
お手持ちの双眼鏡があれば、実に美しい星団の姿を見ることができます。

この星団が目立ってしまうもう一つの理由は図2の示すように、太陽や惑星が通る黄道のすぐそばにあることです。
月や惑星がこの雲のようなものを通り抜けるので昔の人が気にしたのも当然と思います。
古代の占星術の本にはかに座の星々がきらめくと洪水が起き、ぼんやりと見えたら起きないと書いてあるそうです。





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図1 かに座の配置 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/609-fig1.jpg
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図2 プレセペ星団と黄道 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/609-fig2.jpg
本文終わり
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