一直線

11月4日の夜、大学一年生の授業で望遠鏡を手作りし、木
星を見ました。そのとき神秘性を感じなかった学生はおそ
らくいなかったと思います。まるい円盤状に見える木星の
左右にふたつづつ針の穴ほどの光りの点が見えます(図1参照)。
木星とガリレオ衛星とよばれる4つの衛星が見えています。

まず、ひとつの驚きは衛星が光る点で、その点としての鋭
さが日常では見たことの無いような鋭さであることです。
ほうとうに針をついたようなか細い、しかし、明るい点で
す。さらに次の驚きは、その鋭い点が木星の両側に一直線
に並ぶことです。この不思議さは図や写真では表現できな
いことなので実際になにかの機会に見ていただくしかあり
ません。いつか天文台などで見せてもらってください。

一直線に並ぶのは、衛星が木星のまわりをほぼひとつの平
面の上にまわっているからで、これを真横から見ていると
一直線上に並んだように見えます(図2)。衛星は木星の回
りを回っているので、左右にふたつづつ見えたのはこの日
の偶然で、左に3つ、右にひとつだったり、ひとつの衛星
が木星の影に隠れて見えなくて、全部で3つしかみえない
時もあります。

ひとつの線上に見えるというのはこれだけではありません。
この日、太陽が沈むころの、太陽、火星、金星、木星、海
王星の位置を図3に示しましたが、これらもほぼ一直線で
す。しかも、木星の衛星が並んでいる線と一致しています。
太陽の回りをぐるぐる回る薄い円盤状のチリが集まって惑
星やその衛星ができたから、どれもこの薄い円盤上に、つ
まり、ほぼおなじ平面上をめぐっているのです。

月もほぼ同じ平面上にありますが少し傾いた面の上を回っ
ています。だから図3で位置がずれていますね。冥王星も
別の平面上を回っています。月なり冥王星なりのそれぞれ
のでき方になにか事情があるに違いありません。ちょっと
ひねくれものがいたとしてもそれはそれなりにそうなる理
由があると考えるべきです。


図1 2008年11月4日の木星とガリレオ衛星
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/61-fig1.ppt
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図2 木星のまわりをめぐる衛星はほぼひとつの面の上で回っている
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/61-fig2.ppt
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図3 太陽、火星、金星、木星、海王星もほぼ同じ直線上に位置する。
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/61-fig3.ppt
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