自然の法則
「世の中思い通りにいかないけれど、自然法則通りにいく」
という格言があります。
出来るだけたくさんの自然法則を知っていた方が得だと思います。
このとき、自然法則は出来るだけ簡単なほうが嬉しいです。
複雑な法則はそれを利用するとき面倒ですから。
ちょっと自分勝手でしょうか。

光はガラスや水にぶつかると屈折する性質があります。
学校では図1上のような図を書いて、入射角と屈折角の関係式を習いますが、
これは簡単とは言いがたいものです。
しかし、もっと簡単な言い方があって、
それは「光はA地点からB地点に行く時、所要時間が最短になるように進む」というものです。
これは、
なるべくお金のかからない方法で行こうとか、
なるべく疲れないように仕事しよう、
といった日常感覚に近いので
理解しやすい法則です。
もし、
水がなくて空気中なら図の点線のように直線で進むのがもっと所要時間が短いですね。

もし、図1下のように、海岸があって海で溺れそうな人を見つけた時、
最短時間で救助するにはどうしたらよいでしょう。
AからBへ直線で行きますか。
正解は、
地上で走る速さは早く、海では泳ぐスピードが遅いので、陸上である程度近づいてCまで行き、
それから海を進むのと最短時間になります。

図1上の光の屈折でも同じことが起きています。
ガラスの中の方が光の進む速さが遅いので、
屈折したコースが最短時間になるのです。

この原理の応用範囲は広くあります。
一点から出た光はレンズを通すと焦点に集まってきます。
これもこの原理の結果です。
いろいろな方向に出た光が同時に最短時間で焦点に到着するようにレンズの形が工夫されていて、
そのため最短所要時間を競うたくさんの光が焦点に集まってくるのです。

図2にはたくさんの銀河が写っています。
重力があるときにも光は最短時間を求めて進みますので曲がったコースをとります。
その結果、図2のような円弧状の光の像ができます。
重力レンズ像とよんでいます。

格言の通り、この世の中は簡単な自然法則の組み合わせて動いているのかもしれません。
そうだとすれば、できるだけ自然法則を理解して、
毎日の生活に活かしていくことが、私のお薦めです。


画像をクリック(拡大)

図1 光の屈折の原理 [この図は小さめでも大丈夫です] http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/618-fig1.jpg
画像をクリック(拡大)

図2 重力レンズによる銀河の像(提供:NASA) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/618-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/618-fig.pptx references will be note-618