コル・カロリ
コル・カロリという星空案内で人気のかわいい星があります。
ちょうど今晩九時ころ頭上に見えます。

なぜかわいいか?
まず、
春のダイヤモンドと呼ばれるひし形の頂点にあって、
実際見てみると光り方がかわいいです。
3等星という明るさがちょうどいいのでしょう。
図1のピンク色の点線が春のダイヤモンドで、
頂点がコル・カロリです。
4つの頂点はうしかい座のアークトゥルス、おとめ座のスピカ、
しし座のデネボラ(ここまでの三つで春の大三角)にコル・カロリを加えます。

コル・カロリは周りに明るい星がないので暗いわりに目立ちます。
そして、小さな望遠鏡で見ると二つの小さな星が寄り添う二重星です。
この姿ななんともかわいいのです。

コル・カロリは星座でいうとりょうけん座という星座にあります。
しかし、
コル・カロリという名前はラテン語でチャールズの心臓という意味で、
猟犬とは全く関係がありません。
フラムスチード(1646-1719)による天球図(図2)をみると
猟犬2頭が描かれいますが、
よく見るとコル・カロリの位置にはハートと王冠が描かれています。
とても小さいので右上にイメージを描きなおしてみました。
また、また、かわいいですね。

英国の王様、チャールズ二世はグリニッチ天文台を建設した王様であり、
初代台長にフラムスチードが就任していることが関係しているかもしれませんね。
当時英国は植民地拡大のため海軍力が必要でした。
そして安全な航海のために経度・緯度を知るために
星や月の正確な動きを予測するための天文学が必要でした。
その最先端の任務をクリニッチ天文台が担っていたという背景があるのです。
そして、現在の経度0度がグリニッチ天文台の位置であることもその証拠です。

最後にもう一つ、
コル・カロリは磁変星という種類の星で強力な磁石になっています。
地球も大きな磁石になっていますが強さはその1万倍もあります。
カナダの天文学者シルベスターさん達が調べたコル・カロリの磁石の分布は
図3(左)のようでした。
星の表面の赤いところが磁石のN極があるところ、
青いところがS極のあるところを示しています。
地球と違って磁石は横になって
星の中に埋め込まれているようです(右図)。


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図1 5月中旬午後9時頃の真上の星空 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/619-fig1.jpg
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図2 フラムスチードの星図(提供:Linda Hall Library) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/619-fig2.jpg
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図3 コル・カロリの表面の磁場の様子 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/619-fig3.jpg
本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/619-fig.pptx references http://lhldigital.lindahall.org/cdm/compoundobject/collection/astro_atlas/id/211/show/192/rec/1 Stokes IQUV magnetic Doppler imaging of Ap stars - II. Next generation magnetic Doppler imaging of α2 CVn https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/2014MNRAS.440..182S/abstract \bibitem[Silvester et al.(2014)]{2014MNRAS.440..182S} Silvester, J., Kochukhov, O., \& Wade, G.~A.\ 2014, \mnras, 440, 182