歳星
「東の地平線近くに不気味なくらい明るい星が見えたんですが
なんという星ですか」と聞かれることが多くなりました。
「遅くまで起きてたんですね」と返事すると、「なんでわかる
んですか」とまた聞かれます。
この明るい星は「歳星(さいせい)」です。図1のように、午後
10時を過ぎると東の空に登ってきています。

歳星は、今年はいて座からやぎ座付近にいますが、来年は
みずがめ座へ、再来年はうお座へというふうに移動していきます。
黄道十二星座を一年にほぼ一つづつ移動して、12年でまた現在
の位置に戻ってきます。まるで歳を数えているようなので歳星と
という名前をもっています。現代の私たちは木星と呼んでいる星
です。木星という名前は、惑星に5元素「木火土金水」を割り当
てた時についた名前です。歳星の方は古代中国から日本に伝わっ
てきた呼び名です。

黄道十二星座は西洋のものなので、中国由来の名前であることと
合わないと感じる方もおいでと思います。実は中国には十二次と
いう黄道十二星座に相当するものがあってそれを使っていました。

古代の人々は、月の満ち欠けの周期を単位にして、これを12回
繰り返して一年という季節の周期を考えていました。中国では月
の名前として「子丑寅、、、、」の十二支を対応させていました。
この考えを応用して、年を数えるにもこの十二支を対応させて考
えるようになりました。今年の干支は子(ね)ですね。12年では
短いので、「甲乙丙、、 、」の十干を組み合わせると60年周
期の年の呼び名がつくれます。この呼び方のトップは、「甲」と
「子」を組み合わせた「甲子」ですが、これは甲子園球場の呼び
名に使われていますね。この呼び名が一巡するのが還暦で、60
歳のお祝いをするわけです。

この12という周期と木星の公転周期が11.86年でほぼ12年である
偶然が重なって、木星は歳星という名前をいただくこといなったのです。

最後に、木星がいる星座を表にしましたので、自分の星座に来たら
ラッキーと思うことにしましょう。
(実際の運動はジグザグな複雑な運動をしながら進むため、また、
星座の大きも大小あるので厳密に一年に一つの星座進むわけでは
ありません。)





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図1 今晩午後10時頃の南東の夜空 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/625-fig1.jpg
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図2 毎年6月1日と12月1日に木星のある星座 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/625-fig2.jpg
本文終わり
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