紫水晶のような星雲

紫水晶でできたような宇宙の宝石(図1)、これはIC4593という天体の写真です。
このほどNASAから公開されました。
地球上の紫水晶は溶岩が冷えて固まる時に作られる結晶です。
この宇宙の紫水晶は星が死を迎える時に作ったものです。
太陽もおよそ50億年後には死を迎えこのような美しい宝石を作ります。

星は、歳をとってくると若い時とはちがった構造に変化していきます。
老化ですね。
ブヨブヨと太り、最後には体は溶け出してどんどん広がります。
地球と太陽の距離の数万倍のところに彗星の巣がありますが、
そのくらい遠いところまで溶け出した体が広がります(図2aからbへ)。
図1のぼんやり広がった光がそれです。

体が溶け出した一方で、
中心部分には惑星くらいの大きさの固く高温の芯が形成されます。
死を迎えるための球形の墓石と言えるようなものです。
そこから高速のガスが噴き出し、
溶け出したものとぶつかり、
百万度もの高温の光る玉を形成します(図2c)。

図1は、溶け出した体の部分を可視光線でハッブル宇宙望遠鏡で撮影し、
光る火の玉をX線を用いてチャンドラ宇宙望遠鏡で撮影し、
二つの画像を重ね合わせて作られました。
青で表現されたX線と赤い可視光線が重なって見事な紫色になりました。

精密な測定によるとIC4593までの距離は7800光年、
X線で光る玉の直径は地球と太陽間の距離の1万倍で、
温度は170万度です。
そこにある電子の密度は1立方センチメートルあたり15個であることもわかりました。
可視光線の画像を作った光は、窒素と酸素から発せられたものです。

50億年後の太陽もIC4593と同じような道を歩むのでしょう。
そして、私たちの体を作っていた窒素や酸素も星とともに溶け出して
図1の星雲のように光り輝くことでしょう。





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図1 IC4593 の映像(提供:NASA) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/647-fig1.jpg
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図2 太陽と同じような星の最終段階 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/647-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/647-fig.pptx references https://chandra.harvard.edu/photo/2020/ic4593/ see 647-ref.pdf Chandra observations of the planetary nebula IC 4593 https://arxiv.org/abs/2004.04542 J.A. Toalá, M.A. Guerrero, L. Bianchi, Y.-H. Chu, O. De Marco