人間の目の能力

人間の目の能力はすごいと思います。
光は、光子とよばれる微小な粒子の流れと見なせますが、
一粒の光子が目に入ってもそれを感じることができるそうです。
最近のデジカメに負けてはいません。

一方、
目が細かいものをどれくらい見えるかが視力です。
視力1.0とはどんなものが見えることを言うのでしょう。
図1は、太陽の前を金星が横切るという現象を私が望遠鏡を使って撮影したものです。
大きな丸が太陽で右隅に金星が黒子のように写っていますね。
この大きさはちょうど1分角あります。
1分角というのは角度の一度の60分1のことです。

日食グラスを持ってみんなで集まって、太陽の前を通る金星を肉眼で観測したのですが、
金星が見える人と見えない人がいました。
視力を聞いてわかりました。視力1.0以上の人は金星が見えましたが、
1.0以下の人は見えませんでした。
これではっきりしたことは、視力1.0とは1分角のものが見分けられるということなのです。
夜見る星も、1分角ほどの大きさに見えてると考えられます。

さて、 私が星空案内をするのは山の中の暗いところではなく大抵は町の真ん中です。
人口の光で空全体が明るい中で星を見つけなければならないのです。
そんな時の空の明るさがどれくらいか調べてみました。
図2のBの四角は、縦横1分角の大きさですが、
その四角の中にある空の明るさは5等星ほどです(山形の市街地)。
こんなとき、人間の目はAの位置に4等星が輝いていても確認できません。
人間の目は夜空の明るさの10倍も明るい星があっても星であることが認識できないようなのです。
20倍くらい明るければ見えるのですが。

周りが明るいと、人間の目は光る小さな点を見つけることが非常に苦手であることがわかりました。
やはり、人口の光を空に向かって放つようなことはやめて、暗い夜空を守るしかないようです。




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図1 金星の太陽面通過 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/663-fig1.jpg
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図2 10倍も明るくても背景光の明る夜空の星は見つけられない http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/663-fig2.jpg
本文終わり
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