星は負の比熱

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星と「おにぎり」の違いについて考えてみたいと思います。
図1のように熱々できたてのおにぎりがあったとします。
おにぎりからは熱が発散しますのでおにぎりは冷めます。
放出した熱エネルギーにたいして温度がどれくらい下がるか、
この割合を決めるのが比熱という量です。
水1グラムの場合、1カロリーのエネルギーが出ていくと温度が1度下がります。


具体的に60度の熱々のおにぎり100グラムがあった場合について計算してみると、
毎秒33カロリーの熱放射(赤外線)がおにぎりから出て、
最初は4秒に約一度づつおにぎりが冷めてゆき、
冷めるペースは徐々に遅くなっていくという計算になりました。

今度は、太陽と同じサイズで60度のおにぎりが宇宙空間にあったとします。
この巨大おにぎりから放射されるエネルギーをおにぎりの時と同じように
計算してみました。 東北電力の最大発電量の約1千億倍でした。
おにぎりといえども太陽サイズだとすごいエネルギーですね。
冷めるには数万年かかることもわかりました(図2)。

しかし、この計算は実は誤りです。
太陽くらいの大きさになると万有引力(重力)のことを考えないといけません。
巨大おにぎりは放射のエネルギーを放出すると少し小さくなります。
このとき重力からエネルギーをもらって発熱します。
計算してみると、重力による発熱量は、巨大おにぎりの放射量の2倍ほど
あることがわかります。
発熱量が放熱量を上回るので、巨大おにぎりの温度は上昇してしまいます。

普通の物質は熱を出すと冷めるのですが、
重力が働くくらい大きなものは逆で、
放熱すると温度が上昇するのです。
実際、 宇宙の巨大な雲は熱放射しながら縮みながら温度を上昇させ、
どんどん温度が上がるとやがて星が誕生します(図2)。







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図1 おにぎりは放熱すると冷める。 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/681-fig1.jpg
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図2 巨大な宇宙のおにぎりは放熱すると逆に温度が上がると同時に縮む。 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/681-fig2.jpg
本文終わり
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