星空散歩 7月23日(No.7) さそり座

「さそり座」は夏の星座の代表格ですが、その姿を楽し
むのは真夏でなくて今です。

今日、七月二十三日でしたら8時から9時頃、南の空を御
覧下さい。まず、目につくのは非常に明るい星「木星」(写真2)
です。白から黄色みかかった色に見えるでしょう。その
すぐ下に赤い星が見えます。これが、さそりの心臓であ
る一等星アンタレスです。よくよく見ていると目が慣れ
て来ます。すると、日本では「魚つり星」と呼ばれるよ
うに、釣針の形をしたS字にくねったさそりの姿が見えて
来ます。(図)釣針の先端部分がさそりの毒針になります。

さそり座は、最高でも地平線から20度から30度の高さに
しか昇って来ません。そのため見える時期が案外狭く限
られています。地平線近くに建物があったり、山があっ
たりしますからなおさらのことです。八月上旬になると
7時頃に図に示したのと同じ位置に来ますので、そのと
き見れば良いだろうと思うかも知れません。しかし、
7時頃ですと「薄明」といって、まだ日の光が残っていて
真っ暗ではありません。8時になると暗くなりますが、さ
そりは地平線に近くなり、しかも頭を下げて非常にさみし
げな姿になってかっこよくないのです。

だから、さそり座の鑑賞は梅雨の合間をぬって今の時期に
限るのです。ぜひ、今週御覧下さい。月がおとなりのてん
びん座あたりにいます。 25日には月はさそり座に移動し、
月とアンタレスと木星が非常に接近します。双眼鏡で見る
ときれいでしょう。

さそり座にも前回話題になったマリモちゃんがいます。M4
という名前の球状星団です。(写真1)また、図のxの位置に
はさそり座Xー1と名付けられた天体です。現在ではX線を
使った宇宙の観測は普通に行われていますが、人類がはじ
めてX線を使って宇宙を見たときはじめて見たのはこのX
線星でした。


写真の順は出てくる順に変更して下さい。

 図(さそり座) 
ステラナビゲータ(AstroArts Inc)を用いて作成

 写真1 さそり座にある球状星団M4
やまがた天文台にて撮影

写真2 木星の縞模様がどんどん変化する様子が最近ハッブル望遠鏡でとらえられた。
NASA 提供