二重ラックホール

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図1は宇宙のある場面です。
お面のようにもみえますが。

画面の差し渡しは大体100万光年です。
撮影したのはチャンドラX線望遠鏡です。
さて何でしょう。
場所はりゅう座です。
北極星のちかくで一年中日本からみえる位置にあります。

X線でひかる100万光年サイズの火の玉のようなものです。
ここまでのヒントで想像がついたでしょうか。
このサイズでX線で光るものといえば銀河団(たくさんの銀河が集まった集団)です。

図1はRBS797という銀河団で40億光年彼方にあります。
ここで面白いのは普通は単なる光る火の玉なのですが、
目のように左右に二つ大きな穴が空いて見えます。
よくみると縦にも並んだ二つの穴がぼんやりとみえます。

最近アストロフィジカル誌に発表されたボローニャ大学のウーバトシさんたちの研究によると、
この銀河団の中心には巨大ブラックホールが二つあるようなのです。
星が二つセットになって互いに周り合っている連星というのがありますが、
こちらは連ブラックホールです。
ブラックホールからは普通は二方向に細く伸びたガスの噴出があります。
ガスの噴出があると、
ちょうど風船を膨らませたように銀河団ガスの中におおきな空洞が出来上がります。
そして、ブラックホールの周りには二つの空洞ができますが、
RBS797の場合、連ブラックホールなので4つの空洞ができるというわけです。
ちょうど図2のようになっています。

地球上もいろいろ賑やかですが、宇宙もだいぶ賑やかなようですね。
やがてこのふたつのブラックホールはぶつかって合体するでしょう。
そしたら地球上ではその大爆発がみえることでしょう。








図1 銀河団RBS797のX線画像( 提供:NASA/CXC/Univ. of Bologna/F. Ubertosi, 提供:NASA, https://chandra.harvard.edu/photo/2021/rbs797/) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/702-fig1.jpg
図2 連ブラックホール http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/702-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/702-fig.pptx references will be note-702