ヒヤデス(畢)

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星空が綺麗な夜がときどきやって来ます。春の近さも感じます。
今週は晴れたら「おうし座」を見つけてみましょう。

日が沈んで午後6時半頃の南の空を図1に示しました。
真南を向いて、天頂(頭上)と地平線の真ん中、つまり、45度の高さの位置に目をやります。
そのあたりにオリオン座があります。
冬の大三角も図のように見えています。
次に、高さ45度の位置と天頂の位置の真ん中に注目します。
つまり、地平線から天頂に向かって4分の3の位置です。
すると図のようにV字型の星の並びが容易に見つけられるでしょう(図1の緑の点線で囲んだ部分)。
これが牡牛の顔の部分で、二本の角が図のように伸びています。

おうし座はとても古くからある星座で、しかも重要度の高い星座です。
V字型の星の並びが目立ち、月や惑星がここを通るからです。

特にこのV字型の星がたくさん集まっている部分をヒヤデスと呼びます。
ギリシャ語で「雨を降らす女」(複数形)という意味です。
日本語風にいうと雨女(あめおんな)というところでしょうか。
ヒヤデスと太陽が同時ににぼってくる時期に雨季が始まったことに由来する名前だそうです。

中国ではこの辺りを畢(ひつ)宿と呼ばれ天気予報の星でした。
詩経には「月が畢(ヒヤデス)を通ると大雨になる」という記載があるそうです。


ギリシャでも中国でも偶然、雨に関係しているというのは面白いですね。

天文学的にはヒヤデスは星団と言って星の集合体でです。
一つのガスの大きな塊からた一斉に星が誕生し、
結果としてこうやってたくさんの星の集まりに見えているものです。

このような星団の多くは時間と共にバラバラに散らばっていきます。
最近、ガイアという名前の宇宙望遠鏡が打ち上げられ、
星の位置や距離、運動速度を精密に測定しています。
その結果を解析するとヒヤデス星団の星が現在どのように分布しているかが推定できます。
図2が現在のヒヤデス星団の星の分布です。
集団が崩れ始めていることがわかります。






図1 23日午後6時半頃の南の空(Stellariumを用いて作図) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/709-fig1.jpg
図2 ヒヤデスの星々の現在の位置をピンク色の点で示しています(提供:ESA/Gaia/DPAC) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/709-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/709-fig.pptx references will be note-709