ネメヤのライオン退治

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昔、ギリシャの竪琴弾きは色々な物語を歌ったそうです。
その中でも人気なのは英雄の物語でした。
ちょうど、琵琶法師が源平の合戦を語るのと同じようですね。
ヘラクレスによる十二の冒険物語は特に人気があります。

その第一話がネメヤのライオン退治です。
退治されたはずのライオンが星座になっていて、
今晩の夜空には見事なしし座を見ることができます(図1)

ゼウスの神殿を取り囲む森の近くネメアの谷に「ネメアのライオン」
と呼ばれる恐ろしいライオンが住んでいました。
ライオンは毎日夜になると牛や羊を襲いました。
そして時には人も襲ったので、村の人々はとても恐れていました。

エウリュステウス王はこのネメアのライオン退治をヘラクレスにいいつけます。
ヘラクレスは、弓矢を携え、
さらに、道すがら引き抜いたオリーブの古木で作った棍棒を持ってライオンを待ち受けます。
とうとう現れたライオンに矢を射ますが、この化け物ライオンの皮は強くで、
矢はするりと滑って落ちるだけでした。

棍棒を持って殴りかかりますがびくともしません。
格闘の末、首を締め付けること三日三晩、
やっとライオンを退治することに成功しました
(図2)。
毛皮を剥いで帰ってきたヘラクレスを見て、
エウリュステウス王はびっくりして、甕の中に隠れてしまったそうです。
(おしまい)

退治されたライオンが星座という地位にあるのはちょっと不思議ですね。
ギリシア神話よりずっと古く紀元前1000年以前に成立したと思われる
ムル・アピンと呼ばれる天文データを集めた粘土板があります。
そこにある星座リストにはまさに実際に星座が並んでいる順番に、
双子、カニ、ライオン、王、ライオンの尾、という記載があります。
古くから強いものの代表としてライオンが星座になっており、
のちにギリシアに伝わって、
今日の話ができたのでしょうね。






図1 3月30日午後9時ごろの南の空(Stellariumuを用いて作図) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/714-fig1.jpg
図2 ヘラクレスのライオン退治(イラスト:柴田神秘絵) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/714-fig2.jpg
図3 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/714-fig3.jpg
本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/714-fig.pptx references will be note-714