宇宙磁場の測定

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学校は新学期が始まります。
何か新しいことに挑戦しましょう。
今日挑戦する問題は、
宇宙には磁場があると言われるけれど、
どうやってそれを知るのかという問題です。

黒板の上とか、冷蔵庫とかに丸い磁石が張り付いているのでないでしょうか。
日常おなじみで便利な磁石です。
図1のように磁石があると、
矢印のついた点線を描いて、これを磁力線と呼び、
「磁場がある」状態と考えます。
図1のAは磁場がない時、Bは磁場がある時で、AとBを比較しましょう。
金属のリングをクルクル回すと、磁場の強さに比例してリングに電流が発生します。
電流が発生しなければ磁場は無しです。
宇宙探査機はクルクル回る金属リングを持っていて、
宇宙空間を飛行中、いつも宇宙磁場を測定しています。

図1の右にあるD,Eは磁場の中に小さな磁石を置いています。
ここでクイズです。
DとEでは小さな磁石はどちらが大きなエネルギーを持っていますか。
ヒントは磁石はN極とS極は引き合い、同じ極は反発します。

EはSとNが引き合うので、
安定した状態でエネルギーは小さいですね。
外からエネルギーを加えることでDの状態にすることができます。
もし、磁場がなければ(Cの場合)、
小さな磁石はどっちを向いてもエネルギーに変わりはありません。

ちょっとここで飛躍しますが、
太陽の表面にある原子を考えます。原子の中で動き回っている電子は小さな磁石です。
それは磁場がなければCと同じですが、
磁場の強い太陽黒点のあたりでは電子はDやEのようにエネルギーが高い場合と
低い場合の両方があり得ます。
このエネルギーが磁場によって変化する効果によって、
太陽からの線スペクトルというのが二重、三重に分裂します。
これをゼーマン効果といいます。
ゼーマン効果は偏光フィルターを通すと綺麗に見えるので、
偏光フィルターを通してスペクトルを観察します。

図2はそのような例です。技術的には非常に複雑なのでここでの解説はできませんが、
画像はいわゆるスペクトルで、たとえば、右下の白黒の縞が円偏光を意味していて、
これが見えてるということは、
私たち地球の方向に太陽の磁場があることを示しています。

同じ技術を他の多くの天体に向けて、他の星、銀河の磁場などが測定されています。



図1 磁場の測定原理 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/715-fig1.jpg
図2 スペクトルによる磁場測定の様子(出典:Lites 他、アストロフィジカルジャーナル誌, 418巻 928ページ) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/715-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/715-fig.pptx references will be note-715