月と太陽の偶然 (No. 743)

date 2022 10 19
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十三夜のお月見はご覧になれましたか。
月の満ち欠けは月と太陽の位置関係で決まります。
この月と太陽の関係には不思議な一致があります。

その一つは二つの星は見かけ上の大きさがほとんど等しいということです。
見かけの大きさは、星の実際の大きさと星までの距離によって変わります。
実際の大きさを距離で割り算したもの、つまり、実際の大きさと距離の比で見た目の大きさが決まります。
そこで、月の直径を月までの距離で割り算したものと、
太陽の直径を太陽までの距離で割り算を比較してみましょう。
結果は図1に示しています。

両者はほとんど等しくなります。
月の軌道は少し楕円ですので、ちょっと近くなったり遠くなったりすのでこの比は少し変化して、
二つがピッタリ一致することもあります。
この一致のために日食でうまく太陽が隠されます。
月が少し小さい時は、金環日食になり、月の周りに少しあふれた太陽が見えます。

月の満ち欠けの周期は約29.5日でひと月の長さが足りないために、
満月の日は私たちの太陽暦では毎月ずれていきます。
ずれがひどくなると旧暦の月数と季節が合わなくなるので時々閏月を加えてずれを防いでいます。
もう一つの驚きの一致は、月の満ち欠けの周期の235倍と1年の長さの19倍が一致することです。
計算は図1に示しています。
なんと19年経つと全く同じ日に同じ月齢の日がやってやってきます。
古代の人はこのことを既に知っていて閏月を入れるためのルールを作ったり、
日食の予想に使っていました。

私もちゃっかりこれを利用して、星座早見に月の位置が見えるようにした星座早見盤を作りました。
普通の星座早見盤では月は表示できませんし、できたとしても、新聞やネットなどで今日の月齢を
調べる必要がありました。しかし、この星座早見盤ですと調べなくてもちゃんと月の満ち欠けと月の見える位置が表示されます。
この仕組みは私の発明で特許も取り販売もされています。
しかし、他の会社も使うほどの特許ではなかったので既に期限切れで誰でも利用できます。

さて、三回目のお月見は、十日夜(とうかんや)で、今年は11月3日です。
稲刈りも終わり今年の農作業の仕事納めの行事を行う地域もあるそうです。






図1 月と太陽の不思議な一致 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/743-fig1.jpg
図2 月も表示される星座早見 (提供:三省堂) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/743-fig2.jpg
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