ジェームズ・ウエッブ望遠鏡が見た海王星 (No. 744)

date 2022 10 26
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人類が持つ最強の望遠鏡になったジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡の映像をまた一つ紹介します。
海王星です。
図1のように太陽の周りを回る8つの惑星のうち、
海王星は一番外側を巡る惑星です。
現在、みずがめ座の方向にあって、距離約45億kmのところにあります。
図1はジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡がとらえた海王星です。
海王星には土星のように輪があるのがわかりますね。

海王星には14個の月(衛星)があることが知られていますが、
その中でも一番大きいトリトンが左上に見えています。
海王星より明るいのは、
表面が窒素の固体(氷)になっていて
太陽の光を鏡のようによく反射するためです(反射率70%)。

さて、図1では小さいのでズームアップしてみたのが図2の右端です。
右端が探査機ボイジャー2号が海王星にスイングバイして撮影したもので、
これまででもっとも鮮明な海王星の姿です。
さすが、現地まで行って撮影したのですごく鮮明ですね。
海王星が青く見えるのは海王星の表面にある薄い大気の中にメタンというガスがあるからです。
メタンは赤い色の光をよく吸収するので、見た目は青く見えています。

図2の真ん中の画像がこれまで最も強力だったハッブル宇宙望遠鏡による画像です。
かなりぼやけていて望遠鏡の大きさが足りていません。
右端のジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡が非常に分解能(鮮明さ)が向上していることがわかりますね。
ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡は赤外線で観測しますので、
青くは見えません。
メタンのガスによって赤い光や赤外線が吸収されるため
海王星の表面は暗く写っています。
しかし、
大気の上層部にはメタンが氷の粒になった雲があり、
太陽からの光をよく反射するので、
筋状の雲が見えています。

ボイジャーのような探査機による観測は一度きりですが、
ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡であれば好きな時にいつでも見ることができるので、
今後は何回も観測して海王星の気象や衛星や輪の変化も観測できます。
新しい発見が楽しみですね。






図1 ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡が見た海王星 (提供: NASA, ESA, CSA, STScI) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/744-fig1.jpg
図2 海王星のこれまでの観測の比較 (提供: NASA, ESA, CSA, STScI) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/744-fig2.jpg
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