みかづき

西に陽が沈むころ細い月がみえるとき、「みかづき」と
いってとてもきれいで不思議な気分になるものです(図1)。
月はおよそ29.5日周期に、「みかづき」、半月(上弦の月)、
満月、と形が変化して、やがてまた「みかづき」がやって
きます。

満月をすぎると夜遅く月が昇って来るので、早く床につく
かたは夜に月を見る機会がなくなります。満月から約一週
間が過ぎた頃は、夜半過ぎに上弦の月とは反対側が欠けた
下弦の月が昇って来るのですが、この反対側が欠けた下弦
の月が出てくる様子をみることは早寝早起きの健全な生活
をするみなさんにはなじみが無いものですね。下弦の月か
ら、さらに約一週間がすぎると、夜明け前に、やせ細った
消え入りそうな月がみえ、その翌日には月が見えなくなり
ます。

やせ細った月が太って満月になり、今度は欠けてゆき、や
がて見えなくなる。見えなくなった月がどうなってしまっ
たのかちょっぴり心配になりませんか。しかし、3、4日
ほど経過すると再び「新しい月」が日没の直後の西の空に
見えてきます。これはまさに「新月」であり、月が生まれ
変わって、再生したということで、昔のひとびとはこの
「新月」を喜びました。ここでいう「新月」は冒頭で述べた
「みかづき」でもあります。

月が見えないときというのは、太陽と同じ方向に月がある
ときです。図2に示したように太陽と月が同じ方向になる
時を現代では新月としています。専門用語では朔(さく)と
言います。この新月を含む日が旧暦の一日で、月のスター
トです。次の日が旧暦2日で、次が3日で、このころ細い
「みかづき」が見えるのです。

図2で示したように古代における「新月」と今の新月がず
れてしまっていることを図2を見て了解していただければ
とおもいます。そして、古代における最初にみえる月とし
ての「新月」が、いま私たちが「みかづき」と言っている
ものなのです。ちょっとややこしいですね。

今年三月の新月は図2のような位置ですが、今年の7月22日の
月の位置は太陽に重なります。そうです、この日、日食になります。
どうぞおわすれなく。



図1 みかづき  撮影:井上 晃一 (東置賜郡川西町)
(※必要部分をトリミングしてください。)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/75-fig1.jpg
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図2 (とくに説明はありません。出典もありません。)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/75-fig2.ppt
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shiata/yamashin/75-fig2.jpg
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