星座を作った神が人を作ると、、、 (No. 750)

date 2022 12 07
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星座を作ったシュメル人の神話から、
人間がどうしてこの世に生まれたか「人間創造」の話をのぞいいてみましょう。
紀元前二千年頃の粘土板に記載されたものです。

最初の神々が生まれると、
すぐに出産ラッシュがおとづれ、
たくさんの神が誕生します。
そのため神々は食べ物を得るために働かなくてならなくなりました。
畑を開墾し、灌漑し、運河を浚渫するなどきつい仕事をする下級の神々は労働がきつく、
不平を言い出しました。

この世に最初に現れた女神ナンム(原初の海)は息子の知恵の神エンキ(図1)に、
「息子よ、あなたの知恵を使って、
神々がつらい労働から解放されるように身代わりをつくりなさい。」と言いました。
エンキ神は彼の支配する渕の上層部の粘土から人間を作れるように手配し、
その実務にニンマフ女神をあたらせました。
人間は辛い労働をする運命のもとに生まれたのですね。
関係を図2に示しています。

出土した粘土板文書が一部破損しているので完全なストーリは分かりませんが、
この後、神話では楽になった神々が宴会をする場面になります。
ビールを飲みすぎて酔っぱらった
ニンマフ女神は「人間の身体を良くも悪くも作ることができ、その運命は私の思うままだ」
と豪語します。
同じく酔っぱらったエンキ神は「どんな運命であってもなんとかしてみせる」と言い返し、
酔っ払い同士喧嘩が始まります。
いわば部下が上司に挑戦した感じの展開です。

ニンマフ女神は第一に手を曲げられない人間を作ります。
エンキ神はそのものを王の従者として雇います。
第二に目の見えない人間を作ります。
エンキ神はそのものに音楽を習わせ楽隊に就職させます。
この後次々に、足の不自由な人、排尿が言えない人、子供を産めない女などなど
次々にニンマフは誕生させたと神話では述べています。
エンキ神は全てにそれぞれにあった仕事を与え、生きていけるようにしてあげました。
その後の物語は、粘土板は欠損してわからない部分もありますが、
物語の最後は、エンキ神を讃える言葉で終わっています。

今から四千年も前の物語です。当時の法律文書も残っていて、
そこには社会的弱者へ気配りをしていることがわかります。
シュメル人の社会はかなり高度に発展していたことをうかがわせる資料です。
星座を作った人々の心を思いながら星座を眺めてみましょう。





図1 右端がエンキ神。アブズ(深淵)を司る神なので肩から水の流れが見えます。 現在のみずがめ座の絵に似ています。 (「シュメル神話の世界」岡田、小林著、から作画) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/750-fig1.jpg
図2 物語に登場する神の関係図 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/750-fig2.jpg
本文終わり   (homeへ)
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