オリオンの時角 (No. 754)

date 2023 01 07
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冬の星座の王様はなんといってもオリオン座です。
古代ギリシアでは「背が高くこの上なき美しい男子」ということになっています。
紀元前8世紀頃のギリシアの叙事詩「イリアス」によると、
アキレスが盾を新調し、その盾に星座が描かれていたそうです。
詩の一部を引用すると、
「... 星座の数を全て尽くして、
プレアデスの7つの星やら、雨星やら、荒々しいオリオンや、
熊の星として、世間で人が北斗と呼ぶもの、...」
と語られています。

今晩午後10時頃の夜空(図1)を見ると、真南の高い位置にオリオンの勇姿が輝いています。
「イリアス」の言うとおり Pの位置にプレアデス星団(すばる)、
Hの位置に雨星(現在はヒヤデス星団と呼ばれる)が見えています。
オリオンの三つ星を南東に延長した位置に明るいシリウスという星が見えています。
ふたご座にある月、おうし座にある火星がにぎやかさを増しています。
なんと豪華な夜空でしょう。
1月はほぼ同じように見えますから、ぜひ晴れ間を狙って見てください。
(ただし、月の位置は毎日動きます。)


ここで天文学の勉強をちょっと。
図1でオリオン座の「時角」は0時だと言います。
1時間が経過して午後11時になると、
オリオン座は西に移動して、その時角は1時となります。
ここで、あまり愛用者はいないと思いますが24時間メモリの時計の文字盤を
図2に書いたのでご覧ください。
この文字盤を図1の地平線部分に描きました。
オリオン座を時計の針だと思うと時計は 0時を指していることになりますね。
もし、シリウスが時計の針だと思うと時計は23時を指しています。
このように星が差している時間がその星の時角になります。


まとめると
「時角とは真南から西に向かって測った角度で、単位として時分秒を使ったもの」
ということになります。
天文学者は星の位置を計算するときこの時角を使います。



図1 今晩午後10時頃の夜空と時角 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/754-fig1.jpg
図2 24時間時計の目盛 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/754-fig2.jpg
本文終わり   (homeへ)
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