地球は平凡か? (No. 755)

date 2023 01 14
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宇宙の中での人類とはどんな存在なのでしょう。
私の考えはいつも二つの考え方を行ったり来たりしてます。
宇宙の中で人類は平凡な存在であるという見方が一つ。
夜空に輝くたくさんの星々のどれにも惑星が回っていることは今や疑いようのない事実です。
そして、
地球と同じようなサイズで同じくらいの温度になる惑星も相当数あることも確実です。
宇宙には地球と似た惑星がいっぱいあって、人類のような知的生命もいっぱいいそうです。

一方、
環境というのは非常に微妙なバランスの上に成り立っていることも明らかです。
地球は巨大だと思っていましたが、
人類が放出する二酸化炭素が如きで地表の温度が変化して、
対策をしないと人類が生存できなくなるかもしれないということがわかってきました。
大昔、
小惑星が地球に激突して、
当時地球に君臨していた恐竜が絶滅しました。
ほんのちょっとしたことで環境が破壊されてしまうことも事実のようです。
宇宙広しといえども人類のような生命が存在するのは非常に稀なことかもしれません。
これがもう一つの考えです。

考えていても仕方ないので、科学者は基礎研究を積み重ねます。
図1は星団です。
太陽もそうですが孤独に一つの太陽という星が誕生するのでなくて、
星団のように数百という星がほぼ同時に誕生します。
そして、それぞれの星やその周りの惑星は独自の「人生」を歩み始めます。
それぞれ、
太陽にあたる中心星の重さも違いますし、自転の速さも違いますし、周りの環境も違います。
星団を観測するとほぼ同じ年齢の星や惑星がどう違うのかがわかります。
同じ年齢の人を集めて比較すると、
それぞれの人の歩んできた人生の違いがその人のどこに現れるかを知ることができるのと同じです。

ペンシルベニア大学のケットマンさんらの研究グループは、
図1の星団を含んだ年齢の異なる10個の星団に属する6000個を超える星を比較研究しました。
その結果によると
星が生まれてから700万年から2千500万年くらいのあいだ太陽にあたる中心星は強いX線を出しており、
その後X線は弱くなることがわかりました。
X線が強い間はせっかく地球のような惑星ができても
大気が破壊されて生命には適さない惑星になる可能性があるそうです。

やっぱり、人類は微妙なバランスのもとに誕生した貴重な存在なのかな。
今後の宇宙の惑星の徹底研究に期待をしましょう。




図1 調査対象の一つ NGC 3293 と呼ばれる星団 (提供:NASA, Getman 他, 2022, ApJ, 935, 43) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/755-fig1.jpg
図2 星団で星が同時に誕生するが、どのような惑星系になるかはそれぞれ異なるだろう。 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/755-fig2.jpg
本文終わり   (homeへ)
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/755-fig.pptx references Getman 他, 2022, ApJ, 935, 43: 755-ref1.pdf https://chandra.harvard.edu/photo/2022/ngc3293/ 755-ref2.pdf