世界からみえるかに座 (No. 765)

date 2023 03 25
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星占いに使う星座にもなっている「かに座」が見つけやすくなっています。
図1をご覧ください。
夜8時ころ南の空の高いところにかに座をさがしてみましょう(四角の点線部分)。
明るい星はないので、
ふたご座の星(A)と、しし座の心臓の星(B)の間に挟まれた場所をじっと見つめると見つかる星座です。
図1の左下に拡大図を示しました。
紀元前からある由緒あるせいざですが、どうみてなぜこれがカニなのかわかりません。

カニだとしてその蟹味噌、つまり腹のあたりをよくみるとぼんやりとわずかに霞んだものが見えます。
丸い点線(青)で囲った部分です。
肉眼では雲の様ですが、
オペラグラスや小さな双眼鏡でここをみるとたくさんの星が集まっているのが
みえます。
プレセペ星団と呼んでいます。

ふと、大事なことに気がつきました。
この季節このようにかに座が見頃になっているのは山形だけではありません。
日本だけでもありません。
全世界で見頃になっています。

図2は太陽の周りを回る地球の図です。
地球は一年をかけて太陽の周りを一周しますので、3月の位置は大体ここらへんで、
かに座は矢印の向いている方向にあります。
日本でかに座はよく見えていますが、南半球のオーストラリアからもよく見えていることがこの図で
わかりますね。
一方、ヨーロッパやアメリカからは見えないのかというとそうではありません。
地球は自転していますから、
時間が経つとヨーロッパやアメリカからも図の日本の位置にきます。
したがって、ヨーロッパやアメリカでもこの季節がかに座の見頃ですね。
アフリカも時間がたてば図1のオーストラリアの位置にきますのでよく見えます。

「かに座がこの季節よく見える」というのは全世界の共有財産ですね。
全世界がかに座の見頃です。
水や空気そして地球自身が全世界の共有財産だというのと同じです。
石油やレアメタルも地球の一部で人類の共有財産だとおもうのですが、
それを取り合って争う状況は、宇宙から地球を眺める目でみると奇妙に思えてきます。
星空案内が平和に貢献できないかと思うのはこんなことを感じた時です。



図1 3月25日午後8時頃の夜空(ステラリウムを用いて作図) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/765-fig1.jpg
図2 かに座は全世界から見えている http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/765-fig2.jpg
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