電子基準点 (No. 774)

date 2023 05 27
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先日、仙台市天文台を訪れた際、台長の土佐先生から面白いものを紹介していただきました。
天文台の敷地内にある図1のようなものです。
高さ5メートルほどの塔のようなものです。
なんだかわかりますか。
似たものを他の場所で見つけたことがありますか。
これは、電子基準点と呼ばれるものです。
もし、仙台市天文台に行くことがありましたら探してみてください。

電子基準点というのは、
GNSSという人工衛星を用いた全地球規模の測量システムの地球上の観測点です。
電子基準点は国内には約1300箇所設置されています。
一方、宇宙にはたくさんのGNSS衛星があります。
日本のQZSS、アメリカのGPS、ロシアのGLONASS、EUのGalileoなどがあります。

電子基準点は休むことなく連続的に衛星と通信しながら互いの位置を測定しています。
それによって、
プレートの移動はもちろん地震による地殻の変化を知ることができます。
基本的には受信機を持った人が4つ以上の衛星からの信号を受信しで自分の位置を
計算することができます。
GNSSを利用すれば、
10キロメートル離れた2地点の距離を1センチメートルの誤差で測定できるそうです。
電子基準点のデータを加えるとさらに測定制度を改善することができます。

先日地震が起きた能登半島にも電子基準点がいくつか設置されていて、
図2のように測定されました。
電子基準点の「M珠洲笹波」では南西方向に9cm程度の水平移動(青の矢印)がありました。
「珠洲」では西南西方向に2cm程度の水平変位(紫の矢印)、
「M珠洲狼煙」では13cm程度の隆起(オレンジの矢印)が観測されたそうです。

このような科学的な測定だけでなくカーナビで代表されるような使い方もあり、
人工衛星を用いた測地(ナビゲーション)は生活の中に入り込んでいます。





図1 仙台市天文台の電子基準点 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/774-fig1.jpg
図2 5月5日に石川県能登地方で発生した地震による電子基準点の動き(提供:国土地理院) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/774-fig2.jpg
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パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/774-fig.pptx references 774-note.txt 国土地理院の発表データ 774-ref.pdf 国土地理院の発表データ(図)