入梅 (No. 777)

date 2023 06 17
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星が見えるほど暗くなるのは午後8時ころでしょうか。
夏至が近づいているのですね。今年は、6月21日が夏至です。

南の空の高いところにとても明るい星がみえます(図1 参照)。
日本名は麦星、西洋では、うしかい座のアークトゥルス(図1で「あ」)です。
そこから、まっすぐに下に視線を移動するともう一つの明るい星が見えています。
おとめ座のスピカです(図1で「い」)。
もし、条件が良ければ、スピカの右下にちょっと変な形をした四角形が見えます。
ここがからす座です(「う」)。とても、カラスの姿には見えませんが、
紀元前の昔からこう呼ばれています。

梅雨の頃に見える星座は晴れる機会が少ないので貴重です。
気象庁はいつを入梅と宣言するかで悩むそうです。
間違えるとたいへんですからね。
梅雨入り宣言したら、それ以降晴れが続いた、なんてことがあるとブーイングが聞こえてきます。
ご存知の方は少ないかもしれませんが、国立天文台も入梅の日を発表しています。
国立天文台は全く悩みません。
これは暦の上の入梅で天候に関わらずこうすると決まったルールがあるからです。

図2を見てください。
太陽の周りを地球が公転運動していますが、春分の日から測って、80度回転した日を入梅とすることに決まっています。
この定義でいくと今年の入梅は6月11日でした。
このため、一年以上も前から国立天文台は入梅の日を発表することができるのです。

八十八夜というのがありますが、これも決まっていて、立春から数えて八十八回目の夜が八十八夜になります。

冒頭、麦星やおとめ座のスピカがよくみえると書きましたが、
これは入梅が地球の公転が80度ということと関係しています。
これらの星は、太陽と春分の日の地球を結んだ線から30度回った方向にあります。
図2のピンク色の矢印の方向です。
ピンクの矢印の方向にある星がよく見えるのは、
地球の夕方の位置Aから星をみるときです。
つまり、ピンクの方向にある星は今の時期の午後8時頃ちょうといい方向にみえることになるのです。







図1 6月17日午後8時頃の南の夜空 (ステラリウムを用いて作図) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/777-fig1.jpg
図2 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/777-fig2.jpg
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