中性子星の動物園 (No. 808)

date 2023 02 03
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大きな星の最期は、結局重力に負けてつぶれてしまうことで決着します。
つぶれた結果残るのが、ブラックホール、または、中性子星です。
ブラックホールは周りの何もかも、情報も全て吸い込んでしまうので、
個性がなくなってしまいます。つまり、ブラックホールには種類というのがありません。
では、中性子星の方はどうでしょう。

私が中学2年生の時、電波パルサーという天体が発見され、
その正体が中性子星であることがわかりました。
星がつぶれる時に超新星爆発というのを起こしますが、
その爆発の後に電波パルサーが見つかったので、
星がつぶれた後の中性子星は、一種類でそれが電波パルサーである、
とばかり多くの天文学者が思っていました。

大学生の頃、ミリ秒パルサーというのが登場しました。
普通のパルサーの自転周期は1秒くらいですが、
千分の1秒くらいの周期のものが登場してみんなでびっくりしました。
また、超新星の爆発の残骸の中に「中心コンパクト天体」という別種の天体が見つかりました。
図1の写真のようなしゃぼんだまのような爆発の残骸が宇宙にはたくさんあります。
その中心に光る天体がみえます。
この正体が中性子星でした。

その後も次々と不思議な天体が現れ、
その正体が中性子星だとわかってきました。
図2がその分類図です。
名前はともかく、いっぱいあるのがわかりますね。
ちょうど一つの種から進化してたくさんの種類の動物ができるのと似ています。
これを見て、中性子星の動物園だとよく言われます。

人類が持つ最強の磁石の1兆倍の強さの磁石になっている
磁石のお化けのような星があってマグネターとよばれます。
これも中性子星です。
この図に書いていませんが、最近また新種が見つかったという報告がありました。
ますます、動物園は賑やかになりそうです。







図1 超新星残骸RCW 103 の中心に青白く光る中性子星(提供:NASA) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/808-fig1.jpg
図2 中性子星動物園 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/808-fig2.jpg
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