今後のXRISMに注目 (No. 813)

date 2023 03 09
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昨年9月7日に種子島から打ち上げられたH-IIAロケットには、
SLIM(スリム)と呼ばれる小型月着陸実証機が乗っていました。
ニュースでも話題になりましたね。
実は、
同じロケットにはもう一つXRISM(クリズム)という宇宙X線望遠鏡が乗せられていました。
今日はこのクリズムを紹介します。

クリズムという名前はプリズムとにていますね。
光を虹色に分けるプリズム。
プリズムのようにX線を波長ごとに分けてX線のスペクトルを調べる装置をクリズムは持っています。
図1の青色で示した望遠鏡に取り付けられたマイクロカロリメーターというものです。

図2はマイクロカロリメータが得た最初の観測結果です。
図でカラーで示された丸い宇宙のシャボン玉のような天体を観測しました。
N132Dとよばれる超新星残骸です。

ギザギザ棘の様なものがたくさんあるグラフがみえますね。
この棘の一つ一つが特定の元素の特定の状態から放射されたX線です。
これによって放射した物質の種類、温度、密度、
さらには、この物質が誕生してからどれくらいの年数が経っているかなどたくさんの情報が得られます。
天文学者にとっては喉から手が出るほど欲しかった情報が今回の観測から得られています。

図3はもう一つのピンク色で示された望遠鏡に付けられたX線CCDカメラによる画像です(図1)。
二つの銀河団が衝突して合体しそうになっている瞬間を捉えています。
この画像のすばらいいことは白い枠で示された撮影範囲の広さです。
四角の一辺は38分角あります。
満月の直径が30分角ですのでいかに広い範囲の撮影かがわかるとおもいます。
従来のいくつかのX線望遠鏡の撮影範囲を薄い色の四角で示しています。
クリズムの視野は大きいですね。

今後、クリズムからの成果がつぎつぎに発表されると思います。
このコーナーでもお伝えしますのでお楽しみに。



図1 X線宇宙望遠鏡「クリズム」(提供:JAXA) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/813-fig1.jpg
図2 クリズムで取られた超新星残骸N123DのX線スペクトル(提供:JAXA) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/813-fig2.jpg
図3 クリズムで撮られた銀河団A2319(提供:JAXA,DSS) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/813-fig3.jpg
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