輪の無い土星

望遠鏡による天体観測でいちばん人気の星は、と
いえば土星です。可愛い輪がついていることで、
普通のしゃれっけのない球体の星とは異なるとい
うのが魅力なのでしょう。

ところがそのご自慢の輪がまもなく無くなろうと
しています。というとびっくりですが、輪が実際
に無くなるわけでなく地球から見てみえなくなっ
てしまうのです。

図1を御覧ください。いろいろな時期に見た土星の
写真を並べています。地球から土星を見るとき互い
に位置関係を変えるものですから、輪を見る角度が
いろいろにかわります。するとちょうど輪を真横か
ら見る瞬間があります。土星の輪は非常に薄く、場
所によっては100メートルていどと言われています。
なので、真横からみるとみえなくなってしまうこと
になるのです。およそ15年おきに、土星の輪か見えな
くなる時がやってきます。

この事情は図2からわかります。むぎわら帽子を目
深にかぶっている様子を想像してみてください。そ
れを正面から見たとき輪が良く見えます。それを真
横から見るとき輪が消えます。土星はちょうどおう
し座の方向を見ながら目深に帽子をかぶっているの
で、土星がおうし座とさそり座あたりに来たとき輪
がもっとも良く見え、逆に、いまのようにしし座来
たときとみずかめ座あたりに来たときに輪が消えま
す。土星の公転周期は約30年ですから、ぼぼ15年お
きに輪が消えることになります。


図1 土星のいろいろな輪の見え方 (提供 NASA)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/83-fig1.jpg
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図2 土星の位置と輪の見える向きの関係。右上の写真は「やまがた天文台」の
望遠鏡で見えたものを携帯電話のカメラでとったもの(写真提供:佐藤和也氏)
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http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/83-fig2.ppt
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/83-fig2.jpg