マグネター

科学者が星空・宇宙を見る理由と言うと、それは地上での
実験研究では絶対に想像もつかないような不思議なことが
そこにあるからと言えると思います。とにかくとてつもな
いことがおこっているのが宇宙です。

そんな例のひとつが最近注目されている「マグネター」と
いう種類の星です。まだ、確実に存在の証拠はなく、どう
もそんな星がありそうだという段階で、こういうものは研
究心をそそります。

磁石のことを英語ではマグネットといいますね。マグネッ
トとスター(星)との合成語で、マグネットスターを縮めて
マグネターです。ものすごく強い磁石の星です。普通の星
は熱エネルギーで、その高温のために光っていますが、
マグネターは磁石が強いために磁場のエネルギーで光って
いる星です。

太陽より8倍くらいより重い星は、超新星爆発とよばれる爆
発をおこして、星の芯の部分がつぶれて、ブラックホールか
中性子星(ちゅうせいしせい)になります。その中性子星のあ
る種のものがこのマグネターになると考えられています。

マグネターと思われる星はときどき大爆発をおこします。そ
のような星が夜空のどこにあるのかを示したのが図1で、赤い
まるのところです。この図はちょうど世界地図のようになっ
ていて中央の水平線、つまり、世界地図でいうと赤道のとこ
ろが天の川になるように描かれています。

この爆発のエネルギーはものすごくて、数分間あるいはそれ
以下の短時間の爆発ですが、発生するエネルギーは太陽の出
すエネルギーの千年分にも相当します。

さて、問題は予想される磁場の強さです。磁場の強さはガウ
スという単位で計りますが、私たちが冷蔵庫のドアに張りつ
けたりする小さな磁石はこの単位だと百くらいです。強い磁
場でしられる太陽の黒点は数千です。マグネターは千兆ある
いはそれ以上とおもわれています。この強さですと、マグ
ネターをもし月面に置けば地球上のクレジットカードはみん
な使えなくなってしまうでしょう。

この磁場が崩壊するときに巨大なエネルギーがでるのです。
磁石はN極とS極がありますから、爆発したときの想像図は
図2のようなものです。





図1 マグネターの夜空における位置(赤丸が爆発をときどき
おこすマグネターで、黄色い丸は爆発がみられないマグネター)
(東京工業大学、寺沢敏夫教授提供)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/85-fig1.jpg
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図2 マグネターの爆発の想像図
(NASA提供)
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http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/85-fig2.jpg