パルス周期の検出

私の研究しているのは「パルサー」という星で、光がついたり
消えたりを規則正しく繰り返す星です。既に、二千個あまりの
そういった星が見つかっています。光の点滅の早さはとても早
くて、おうし座の角(つの)のあたりにある「カニパルサー」と
よばれるパルサーは、一秒間に60回もついたり消えたりします。

パルサーの光は電波とガンマ線で非常に強くなっています。昨
年打ち上げに成功したフェルミ宇宙望遠鏡(図1)が、ガンマ線を
用いて新しいパルサーを今どんどん見つけ出しているところです。
しかし、ガンマ線で光る星が点滅することをみつけるのにはちょ
っと工夫が必要です。それの様子を紹介しましょう。

パルサーからの光のつぶは非常に弱いので、フェルミ宇宙望遠鏡
が受ける光の粒は一時間に一個くらいです。一日中観測しても24個
位の光しか来ません。ところがパルサーは一秒間に60回もついたり
消えたり、しているのです。どうしてこんな短い周期性が分かるの
でしょう。

ある老紳士は仕事がお休みになる水曜日に、市内のある高級レストランで
夕食をとります。いろいろやりたいこともあるので毎週というわけでは
ありません、ときどきしかレストランに行けません。でも、水曜日に
しか行けないのです。レストランの支配人はこの一年を振り返ってみ
て、どうもこの老紳士は水曜日がおやすみらしいことに勘づきました。
それで、一年間、何曜日にその老紳士がレストランにやってきたか記
録しました。その結果が図2です。図をみると明らかに、老紳士はで
たらめでなく、水曜日が都合が好いのだということがわかります。年
末の一日、娘さんと日曜日に来たことがあるのがグラフに現われてい
ます。

パルサーから来る光のつぶも何年もかけて数千個集めて到来時刻を調べ
ます。ある周期を仮定して、図2のようなグラフを作ってみると周期性
があれば点滅していることに気がつきます。紳士のように周期があらか
じめ分からないのでしらみつぶしにいろんな周期を調べて周期性を見つ
けるのです。大型コンピュータをつかった地道な作業です。図3のよう
にして得られたパルサーの光の点滅のグラフが作られます。明るくなっ
たところでグラフの値が大きくなります。






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図1フェルミ宇宙望遠鏡(NASA提供)
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http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/104-fig23.ppt
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図2 紳士の来店曜日
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図3 パルサーから来るの光の粒の強度変化の典型的形
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