フェルミガンマ線宇宙望遠鏡 一昨年の9月にこのコーナーで「フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡」が 打ち上げられ今後活躍するでしょう、とお伝えしました。機器の調整の 順調に進み、昨年以来、ぞくぞくとフェルミ望遠鏡による研究論文が 出てきています。大成功まちがいなしの望遠鏡となりました。 まず、ガンマ線とはどんな光なのでしょう。X線と同様に放射線として 扱われちょっと危ない感じがするのですが、光の一種です。 温度にたとえて説明します。たとえば、人間の身体は36度くらいで、 そこからは赤外線が出ています。また、太陽の表面は約6000千度で そこからは可視光線が出ています。太陽よりも表面温度が高くて 2万度くらいの星もあります。そのような星からは紫外線が出て います。そして、1億度の星からはX線が出てきます。さらに高く、 もし、10兆度のものがあればガンマ線が出てきます。そんなにエネルギーの 高い光がガンマ線です。 図1は、夏の夜空です。魚眼レンズで見たように全天が描かれています。 天の川が中央に見えています。これは赤道上で見た空で、南十字まで 見えています。これと同じ方向をガンマ線望遠鏡で見た映像が図2です。 人間の目くらいに視野がひろい望遠鏡なので全天の写真も簡単に取れます。 ガンマ線でも天の川がきれいに見えています。また、それ以外にたくさんの ガンマ線で光る星が輝いています。フェルミ望遠鏡は既に1000個以上のガンマ線 星を見つけています。ガンマ線で光る天体の正体が気になるところです。 一番目立つのは、活動銀河核といって銀河の中心の巨大なブラックホールが 輝いているものです。さらに、 パルサーといって高速に自転している強い磁石 星も明るく見えています。ガンマ線で爆発する天体も知られています。 このように、ガンマ線の空では一風変わった星たちがきらめいています。 ちょうど、深海にもぐると変わった魚とであえるように。 図1 夏の夜空(可視光線) (アストロアーツ/ステラーナビゲータを用いて作製) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/116-fig1.ppt http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/116-fig1.jpg 画像をクリック(拡大) 図2 ガンマ線で見た空(提供 フェルミチーム Julie McEnery) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/116-fig2.ppt http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/116-fig2.jpg 画像をクリック(拡大)