星空案内 No.13
やぎ座 

季節も徐々に秋になり、星空も夏の星座から秋の星座に移
ってゆきます。今週は夜の8時頃から10時頃、南の空を見
るとちょうどほどよい高さ(地平線から40度くらい)にある
星座が「やぎ座」です。やぎ座の西側にみえているのが
「いて座」、一方、東側が「みずがめ座」です。あまり明
るい星がないので見つけにくいかも知れませんが挑戦して
みてください。
(図1)

やぎ座の絵を良く見ると、不思議なことに上半身は確かに
山羊(やぎ)ですが、下半身が魚であることに気がつきます。
不思議な生き物ですね。この星座の由来をギリシア神話に
求めると、山羊の姿をした神パーンが、あわてて川に飛び
こんで魚に化けようとしたのですが、それが失敗してしま
った、という間のぬけた話になっています。自然観察の得
意なギリシア人にしてはこの説明はどんなものかと思って
しまいます。
(図2)

そこで、もう少し起源をさかのぼってみると、やぎ座は古
代メソポタミアの時代からあることがわかります。それが
ギリシャに伝わって来たようです。

メソポタミアは、チグリス川、ユースラテス川流域、今の
イラク地方で、今から四千年あまりむかしのことです。古
代バビロニア(バビロン第1王朝)やハンムラビ宝典などの
言葉は聞いたことがあるかもしれません。当時あった神様
のなかでも結構有力な神さまにエア神というのがあったそ
うです。水と知恵の神さまと言うことになっていますが、
これが「魚ヤギ」そのものだったそうです。実際、やぎ座
のバビロニア名はスフル・マシュというそうで、直訳する
と「魚ヤギ」となります。

原始の時代にエア神が海から現れて、一日の間に農作、文
字、法律、魔法を教えて海に帰って行きました。エア神は
その後、1000年の間に三回現れて、人々を助けたと言われ
ます。また、現れてくれないかなと思いませんか。



図1(やぎ座)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/export/13-fig1.ppt


図2 (やぎ座の形)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/export/12-fig2.jpg