宇宙空間はほとんど真空といっていいほど希薄な状態です。宇宙空間においては、 一辺が1センチメートルの立方体の中に含まれる原子の数はたった一個程度です。 地球上の空気だと同じ立方体に含まれる原子の数は一兆個の一千万倍くらいで、 すごい高密度です。 そんな薄い宇宙空間ですが、ところどころ濃いところと薄いところがあります。 つまり、密度のむらがあります。ほんのすこしでも濃いところは重力(万有引力) によって回りの気体を引きつけるのでさらに濃くなる傾向があります。長い時間を かけて濃い部分はどんどん濃くなって、宇宙空間に雲のようなものが出来ます。 宇宙空間は冷たいので原子は互いに結合して分子を作るので、このような雲は 星間分子雲とよばれます。 図1をごらんください。左側は可視光線でみたおなじみのオリオン座です。左の 画像に、電波望遠鏡で見た星間分子雲からの電波の強さを重ねて描いたのが図の 右側です。赤いところからは強い電波が出ており、黄色、青、紫に色が移ると、 徐々に電波が弱くなっています。この電波は一酸化炭素から来る電波で、 赤いところは一酸化炭素を含め、非常に濃いガスがあるところです。 このような密度の濃い気体のあるところではやがて引力による収縮が進んで、 星が誕生します。 このお話の最初に、宇宙空間にも濃いところと薄いところがあって、 と申しましたが、先日あるかたから「なんで濃いところ、薄いところのむらが あるのですか?」と聞かれ返事に戸惑ってしまいました。気体が流れていれば 理解できるとおっしゃるので、たしかに、この気体は銀河のうずとなって毎秒 数百メートルという速度で流れていることをお話しました。 しかし、これでは密度むらの説明にはなっていませんね。とは言うものの自然界 のどこを見ても、濃い薄いはありますから、これは自然と思うしかないのでしょう。 |
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図1オリオン座付近の電波望遠鏡による像(国立天文台野辺山電波観測所提供) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/130-fig1.jpg |