部分月食と月までの距離


今週の土曜日は満月です。午後八時半ころはちょうど図1のような感じです。 昇って来たばかりの月がこんなだとびっくりしてしまいます。地平線の 少し上に出た月が、満月なのに半月のように欠けていて、しかも、普通の 半月なら欠けたところは真っ暗で見えないのですが、赤黒くて真っ暗では ありません。

これは月食です。図2Aを御覧ください。太陽の光を受けている地球ですが、 地球は長く影を引いています。その影の中に月が入って来るのが月食です。 地球から月をみると図2Bのように欠けて見えるのです。

最近はデジカメやビデオカメラの性能が上がったので比較的簡単に月食の 月を撮影することができます。ぜひ、挑戦してみてください。

さらにおもしろいことがあります。それは、半分くらい欠けた月食の写真が 一枚あると月の直径が約3千4百kmであることや月までの距離が約38万kmあること がわかってしまいます。どのようにするのでしょうか。

撮った写真を見ると、丸みをおびた地球の影が分かりますので地球の影の 全体像を図Cのように描いてみましょう。次に写真の上で、月の直径と地球の 直径の比をもとめてください。地球の影の直径が地球の直径約1万3千km に相当しますので、先ほど求めた比と地球の直径から月の直径を計算できます。

これはすごい。月食の写真一枚で月の直径が分かってしまうのです。あとは、 月の見かけの大きさが0.5度であることから月までの距離が計算できます。

中学生のみなさん、今のうちに夏休みの自由研究を済ませてしまっては いかがでしょう。

なお、地球の影は遠くに行くとすぼまっていくので、そこまで考慮した より正確な方法は小さな天文学者の会のホームページで紹介しています。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/shoten/

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(アストロアーツ製ステラーナビゲータを用いて作成)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/132-fig1.ppt http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/132-fig1.jpg
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図 月食の原理
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