ヘラクレス座の神話


英雄として有名なヘルクレス座を探してみましょう。今日このごろですと 日も沈んでじゅうぶんに暗くなった午後8時頃、頭上(天頂)を見てみ ましょう(図1)。英雄の英語、ヒーロー、の頭文字であるHの形がみつから ないでしょうか。あればそれが英雄ヘルクレス座の胴の部分です。 非常に明るいおりひめ星(こと座のベガ)と麦星(うしかい座のアルクトゥルス) の間にはさまれた位置です。

英雄ヘラクレスの生まれた頃のお話しです(神話ではヘルクレスでなくて ヘラクレスと表記するのが一般的ですのでそれに従います)。

王子アムピトリュオンは婚約者アルクメネの父をあやまって殺して しまい、婚約者ともども祖国を追われてテーバイという町に亡命します。 あるとき、アムピトリュオンが遠征に加わりました。そして、凱旋する という前の夜のことです。大神ゼウスはアルクメネに思いを寄せており、 太陽の動きを遅らせておいて、 アムピトリュオンに化けてアルクメネの前にあらわれひと夜を過ごします。 その後、本物の夫アムピトリュオンが帰ってきます。そんな事情で、 アルクメネは神の子ヘラクレスと人間の子イピクレスの双子を出産する ことになりました。ヘラクレスは神と人間の間の子供なので不死身では ありませんが、非常に強く英雄となったのです。

ゼウスの妻ヘラはこのことを知ると嫉妬し二人の赤子が眠るところに 毒蛇をつかわします。泣き立てるイピクレスをよそに、赤子ヘラクレスは 蛇を難なく死め殺したということです。さすが英雄の名にふさわしい強さ ですね。

これからヘラクレスの長い長い英雄物語は始まるのですが、その最後は 悲惨なもので、英雄の成功もすごいですが悲惨さも人並ではありません。 興味のあるかたは、ギリシャ神話をひもといてみてはいかがでしょう。 また、この星座には「まりもちゃん」というニックネームがある 球状星団があります。これは土曜日のやまがた天文台で見ることができます。



画像をクリック(拡大)
図1 (アストロアーツ製ステラナビゲータを用いて作図)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/137-fig1.jpg http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/137-fig1.ppt