うお座の神話


人と人との間には結びつこう、結びつこうとする力が働いているよう に思います。その象徴ともいえるのが「うお座」ではないでしょうか。

図1に見るように、ニ匹の魚がリボンで結ばれたような星座です。最近ですと、 夜の8時ころ図のように東の空に見えています。木星と秋の四辺形が目標に なります。図には今回は枡目を描いてみました。ひとつの枡目の大きさは、 腕をまっすぐ前に伸ばしてだいたいゲンコツひとつ分の大きさになります。 だいぶ大きな星座ですね。

あるとき神さまたちがナイル川の岸辺で宴会をしていると、頭が百もある 怪物テュフォンがあらわれます。慌てた神さまたちはその場を逃げ出しますが、 アプロディテとその子エロスも魚に変身して川にのがれました。そのとき、 互いに離れ離れにならないように、アプロディテがリボンでふたりを結んだ のです。

アプロディテは美と愛の女神、エロスは後にローマに伝わってキューピッドと なり、これは皆さんも恋をしかける神さまとして知っているでしょう。 しかし、このエロスはこの世が始まったとほとんど同時に誕生したと伝え られていて、どんなに賢い頭も無力化する強い力を持つもの、恋や愛という 人間のより深いところに起源をもつものとして現れています。

人と人との間にはたらく互いに結びつけようとする力とは逆に、人と人を 引き裂こうとする力も働いています。それは、人と人を憎しみの感情で引き はなし、時には戦争と言うような形で私達に襲いかかることもあります。 宇宙も引きつけあう万有引力とダークエネルギーと呼ばれる不思議な斥力とが せめぎあっていままで進化していきているのは、星空案内人にとってはとても 印象的なことです。

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図1 2010年10月11日 午後8時ころの東の空
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/146-fig1.ppt
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