「今日の月はやけに大きく見えるね」「いや、それは目の錯覚だろう」 なんて会話をしたことはないですか。実際どうなのでしょう。 月が地球を回る軌道が円で、地球からの月までの距離が一定であれば 見た目の月の大きさは変わるはずもなく、目の錯覚説が正しいことになります。 円に比べてひしゃげた軌道を楕円軌道といいます。円からのずれは離心率で あらわします。月の軌道の離心率は5.5パーセント程ですので、 月までの距離は平均にたいして遠いときは5.5パーセント程遠く、 近いときは5.5パーセントほど近いということになります。 月が近いときは大きく、遠いときは小さくなり、最小のときに比べて最大のときは 11%大きいということになります。図1に11パーセント大きさを変えた月を 並べて見ましたがどちらが大きいか分かりますか。比べにくくするために わざと方向を変えてあります。 今年最も月が地球に近くなるのは3月20日の満月のときです。「やけに大きく 見える満月」が昇って来ますので是非見てみてください。そして、毎月満月を 見つづけて8月14日の満月は一割ていど小さくなっていますが、さて、その違いが わかるでしょうか。 太陽の回りの惑星の軌道も円ではなく楕円です。各惑星の軌道の離心率を表にまとめ ました。太陽と地球の間の距離は1.7パーセントほど遠くなったり近くなったり することがわかります。 太陽から地球に降り注ぐエネルギーもこのために3.4パーセントほど 大きくなったり小さくなったりします。 この違いによって地球が暑くなったり寒くなったりするわけではありません。 最も地球が太陽に近くなるのは1月上旬です。このときは夏ではありませんね。 季節はむしろ太陽の降り注ぐ角度の影響が強く出るからです。 ふろく 2011年の満月の大きさ 3/20 33.8'(極大) 1/18 33.5' 5/17 32.9' 6/16 31.9' 7/15 31.2' 8/14 30.3' 9/12 30.0' 10/12 29.8'(極小) |
画像をクリック(拡大) 図1 どちらの月が大きいでしょう。 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/163-fig1.jpg 画像をクリック(拡大) 表1 惑星の軌道の離心率 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/163-fig2.jpg http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/163-fig.ppt |