おとめ座とそのおとなりてんびん座は古代メソポタミアの「麦の穂」座と「死の天秤」座の に由来しています。おとめ座の星座絵でも乙女は麦の穂を持っています(図1参照)。 ギリシア神話ではこんなお話があります。はじめ人間は正義を守り、正義の女神ディケの 教えに従って生きていました。しかし、やがて人間は悪いことをおぼえ、 貧富のができたり、戦争をおこしたりするようになりました。 それに愛想をつかした女神は天に昇ってしまい星座になりました。 この星座はアストラエア(星乙女)と呼ばれました。 これが今のおとめ座というわけです。 おとめ座の一等星スピカは刺(とげ)を意味していて、私たちが知っている言葉ではスパイクが 共通の語源をもっています。麦の穂をあらわすことばです。 おとめ座の隣りにはてんびん座がありますが、これは正義を審判する天秤です。 エジプトでは死者の心臓が天秤にかけられ生前に正義、公正をおこなったか審判を受けます。 審判では、正義の女神であるマアトの象徴である羽根と心臓が秤にかけられるのです(図2)。 このように、 春の星座であるおとめ座とてんびん座の領域は、争いを無くし公正が行われる ように人間が願ったことを示す領域になっています。このシーズンは土星もいてわかりやすいので ぜひこれらの星座を見つけてみて下さい。 |
画像をクリック(拡大) 図1 おとめ座とてんびん座(5月末から6月上旬の夜8時頃の南の空) (アストロアーツ製ステラナビゲータを用いて作図) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/170-fig1.ppt http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/170-fig1.jpg 画像をクリック(拡大) 図2 死者の書に描かれた死者の心臓を裁く天秤(トリノ・エジプト展、朝日新聞社事業本部文化事業部編集より) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/170-fig2.jpg |