太陽系には母なる太陽がいて、八個の惑星は八人の子供で、 ちょうどひとつの家族のようですね。 そしてどこかよその星にも惑星が回っていて、 それぞれが家族を作っていることでしょう。 夜空に輝く星々の全てがそれぞれの家族を持っているといえます。 そして、星々の半分近くは連星系といって二つの恒星が互いに回りあっている、 つまり夫婦星のかたちをとっています。 いろんな夫婦関係があるように、いろんなスタイルの連星系があるので、そのほんの一部を今日は紹介しましょう。 みなさんはどのタイプが好きか楽しみながら図1を見て下さい。 まず、望遠鏡で見ると確かに二の星が互いに接近していることが見えて、しかも、長いあいだ観察していると 互いに回っていることが確認できるものがあります。たとえば、 くじら座の心臓といわれるミラという星がそうです。 望遠鏡で分離できるくらいですから二の星はずいぶんとはなれていて、 太陽と冥王星の間の距離の2倍も離れたところを互いに回っていいます(図1a)。 かなりの遠距離恋愛ということになりますね。 そういえば、これから良く見えるさそり座のアンタレスもこのように離れた連星です。 星と星の距離が近くなると互いの引力の関係で星の形が もうまるくはなりません。 近接連星系などといわれるのはこのタイプです。 互いの距離が近いので望遠鏡で分離して見るのは難しいですが、 ふたつの星が公転のため見え隠れす時は、明るさが変化する ひとつの星として見つかります。 近接の具合はいろいろで、丸いはずの星が変形する程度のものから、 互いに触れ合うところまで接近している熱愛タイプもあります。 普通の恒星とコンパクト星との連星もあります。コンパクト星とはブラックホール、中性子星、白色わい星など 太陽と同じくらいの重さでも地球より小さくて、とても小さな星です。 相手の恒星はコンパクト星の引力で変形し、表面のガスははぎ取られ吸い込まれてしまいます。 このタイプの連星は、 吸い込まれたガスがコンパクト星の回りに円盤を作りそれが強烈に光ったり、爆発したり、ジェット流を吹き出したりと さまざまな派手な現象をおこす連星系です。 ガスを吸い込んだコンパクト星がすごい元気になって、パルサーになることがあります。 そのパルサーはパルサー風という猛烈な風を吹き出して、相手の星を融かして蒸発させてしまうことがあります。 元気をくれた相手を蒸発させてしまうのです。 ブラックウィドウ(黒後家蜘蛛)のニックネームを持つ連星です。ブラックウィドウは、メスが交尾のあとオスを食べて しまうことからこのニックネームがついています。 連星は星のもついろいろな側面を見せてくれるため単体の星よりも研究の意義が多く貴重な存在です。 さて、みなさん。好みのカップルは見つかりましたか。 宇宙はまるで人を映し出す鏡のようですね。 |
図1いろいろな連星 a ミラという星とその伴星 画像をクリック(拡大) b 触れ合うまで接近した連星の画像はありませんので、連星が出来る様子を しめすシミュレーションの図をここに参考に掲げました。 画像をクリック(拡大) c コンパクト星が作る連星では相手の星の一部が吸い込まれます(想像図)。 画像をクリック(拡大) d パルサーは相手の星を蒸発させてしまうことがあります(想像図)。 画像をクリック(拡大) a http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/170-fig1.jpg b http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/170-fig2.jpg c http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/170-fig3.jpg d http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/170-fig4.jpg 総合パワーポイントファイル http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/170-fig.ppt |