遠くを見ることは過去をみること。太陽の光は約8分前に太陽を出た光ですし、 織り姫星の光は約25年前に出た光です。遠くにある天体から出た光は、たとえ 光と言えども瞬時に届くのではなく有限な時間がかかって、わたしたちの目に 入って来ます。だから、今見ている太陽は約8分前の太陽、今見ている織り姫 星は約25年前の織り姫星です。 チャンドラと呼ばれるX線望遠鏡が六週間に渡ってある一点をじっと見つめて 撮った写真とハッブルという宇宙望遠鏡の撮った写真を重ねたのが図1です。 この6月15日にNASAから発表になった画像です。 宇宙がはじまったのは約137億年前ですが、宇宙がはじまってから8億から9億年 くらいたった時の宇宙がここに写っているのだそうです。 なのでざっと128から129億光年かなたを見ていることになります。 宇宙ははじまって以来、ごい速さで膨張し、 そのためガスはどんどん薄まっていきました。 しかし、暗黒物質とよばれるものに密度のムラがあり、その濃い部分が 重力によってますます濃くなるという現象が生じます。 そこにガスが集まってやがて星、そして星の大集団である銀河ができます。 図1にたくさん写っているぼーとした楕円や渦巻状の小さな塊が銀河で、 銀河はたくさんの星からできています。 青く光っているのがX線でとらえたブラックホールです。 宇宙誕生から8億年もするとこのように銀河がたくさんで来ていることが わかります。 過去がこうして見れてしまうのですから、タイムマシンに乗った ような気になります。 チャンドラの観測によるこの写真から銀河のほとんど に巨大なブラックホールがあることが分かりました。 従来は、クェーサーとよばれる太陽の百万倍以上の質料を持つ巨大ブラックホールが あることがしられていましたが、それよりも1万倍もの数のブラックホール が見つかったのです。 従来知られていたクェーサーの千分の一と 言う暗さだったのでこれまで見つけにくかったのです。 ここに写っているほとんどの銀河の中心には巨大ブラックホールがあることに なります。 わたしたちの住む天の川銀河(銀河系)の中心にも巨大ブラックホールがありますが、 どうも度の銀河にもブラックホールがあるようです。 そして、このような写真をみると、このあちらこちらにわたしたちの地球のような 惑星やその上に生物がいるのだろうなと思ってしまいます。 |
図1 チャンドラX線宇宙望遠鏡が宇宙の彼方にたくさんのブラックホールを見た (NASA提供) 画像をクリック(拡大) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/174-fig1.jpg 参考図 図2 銀河の中心にあるブラックホールの想像図 (NASA提供) 画像をクリック(拡大) http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/174-fig2.jpg |