月の暈(かさ)


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毎週土曜日の「やまがた天文台」には、雨でも曇でも、なんとなく人が集 まって来て、星空案内人による星空ガイドを聞いたり(曇りの日も星空ガイ ドがあります)、展示を見たりという静かで、しかし、楽しい時間を過ごし ています。12月まで今年は「月と遊ぼう」というテーマで月に関する展示や 案内をやっていますので、どうしても話題は月です。

月はいつも同じ面を地球に向けていて、月の裏側を地球から見ることはでき ません。月が早く自転していればクルクル回って裏表なく全表面が見えるの ですが。「しかし、月は自転していないわけでなく、自転周期が地球の回り の公転周期と一致しているから同じ面を見せているんだ」、という物理学者 の理屈を紹介しながら、これって分かりにくいですよねとみんなで話し合え るのも天文台の楽しみです。

月の満ち欠けのパネル(図1)を見ながら、月の満ち欠けの理由を実験しながら 理解します。このパネルも中心にある地球の写真のアングルが悪いので 案内人の説明が混乱しました。図1の地球は北極上空からの写真だと 分かりやすいのです。そうすると、地球は反時計回りで自転していること、 それと同じ方向に月は地球の回りを公転していることがうまく説明できます。

そんな天文台で、先日見えた月の「かさ」のことが話題にのぼりました。 太陽と同じで、うす曇りのとき月に暈(かさ)(げつうん)が出ることが あります。ちょうど先日あったので写真を図2に掲げます。温暖前線が 近付いてきて巻層雲(高いところの氷の結晶が多い薄雲)が出たときに 見える現象です。月の光が氷の結晶で屈折したため見えます。ちょうどよい 曇り具合や結晶の状態が必要なので珍しい現象です。その後、温暖前線が 近付いて雲が段々低くなると確率90%で雨になるそうです。

星にも暈らしきものが見えたという方からのご報告も頂いています。 全ての星ではないそうです。 月に暈がでるような状況では、 原理的には星ひとつひとつに暈が出るはずですが、 暈は淡いので明るい星にしか見えないでしょう。 もし、見たかたはご報告頂ければ嬉しいです。



図1 
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図1 10月12日(満月)に見られた月暈(撮影、熊谷幸三氏)
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