太陽の中心からのニュートリノ


星は最期に大爆発を起こし、その一生を終えるとよく言われます。 超新星爆発とよばれます(図1)。 しかし、これは太陽にくらべてずっと大きい(ずっと重い)星の 話です。 星の中ではちっぽけな部類に属する太陽は、その最期に大爆発を 起こすような事はありません。太陽は、歳をとってくると、最初はメタボじゃないですが、 膨れ出し、一部を回りの宇宙空間に放出し、 芯の部分は縮んで、そしてやがて暗く死んでいきます。 太陽が生まれてからここまで約100億年かかると考えられています。

どのような死に方をするかは星の中心で起こっている核融合反応の進み具合で決まります。 核融合反応を理解するのはなかなか難しいことですが、 この反応によって発生するエネルギーは巨大で、このエネルギーのおかげで太陽があんなに熱く、光を発し、 そのおかげて私たちが生きていられるということは間違いありません。

私たちは今、確かにその核融合反応が太陽の中心で起こっていることを証明することができます。 太陽の中心で、4つの陽子が融合してひとつのヘリウムが作られ膨大なエネルギーが発生すると、 そのときにニュートリノという微粒子が同時に出でます。 ニュートリノは太陽の本体を突き抜けて地球にやってきます。 そのニュートリノをスーパーカミオカンデという実験装置でとらえることに成功しているのです。

この実験装置は、微弱な光を確実にとらえる超高感度の「目」 を持っていて、太陽から出たニュートリノが水の中で発光する現象をとらえます。 この目は「光電子増倍管」とよばれる装置です。 スーパーカミオカンデでは全部で1万1千個の「目」でニュートリノの発光を見ているそうです。 この発光現象を分析するとニュートリノの到来方向がわかり、たしかに太陽から ニュートリノが来ていることがわるのです。

この、素晴しい超高感度の目、光電子増倍管の実物が、やまがた天文台に展示してありますので ぜひおいでの際に見つけてください。 星を見に来てくださるお客さんはたくさんおいでですが、部屋に展示してある光電子増倍管に 気がつく人が少ないのでちょっと可哀想な気がしています。


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図1 超新星爆発の跡
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http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/210-fig1.jpg

図2 やまがた天文台に展示のカミオカンデで使っているのと同じタイプの光電子増倍管
(横向なので正立にする必要あり)
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図3 番外(スーパカミオカンデでとらえられた太陽ニュートリノの方向マップ)
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