ベレニケのかみのけ座


星と星を線で結んで星座を作りますが、線がない星座もあります。 かみのけ座です。髪の毛が星座になったもので、ただごちゃっと星が 集まっていて、線を引くにも引きよう無い星座です。 16世紀にティコ・ブラーエという天文学者が正式に星座としました。

アレクサンドリアの王妃ベレニケはとても美しい髪を持っていました。 夫のプトレマイオス王がシリアとの戦いで苦戦しているという知らせを 聞くと、女神アフロディテに、王が戦いに勝利すれば自分の 美しい髮を捧げると誓いを立て、王の戦勝を願いました。

王が戦いに勝ち帰国すると、ベレニケは約束通り髮を切り神殿に捧げました。 ところが、翌日、髮は神殿から消えていました。 天文学者のコノンは、髪の毛が美しい星となって夜空にあることを発見した そうです。これが「ベレニケのかみのけ座」です。

この星座は明るい星も少なく地味な星座でふだんは見つけるのは容易でありません。 今は、とても見つけやすいので図1を見ながら探してみてください。 (1)しし座に赤い火星、(2) 土星とおとめ座スピカが仲良く並び、 (3)東にビール色の麦星(アルクトゥルス)、 (4)北の高い位置に北斗七星、これら4つの場所に囲まれた中央がかみのけ座です。

かみのけ座は、 天文学者にとってとても重要な星座です。この場所は天の川から90度離れた 場所なのでたくさんの銀河を観測しやすい場所であるからです。そして そこにはかみのけ座銀河団があります。数千個もの銀河があつまって大きな集団を 作っています(図2)。 これこそ、ベレニケの髮の美しさの正体かもしれませんね。


| もくじ に戻る|


図1 かみのけ座の位置
画像をクリック(拡大)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/211-fig1.jpg

図2 かみのけ座銀河団:さしわたし数百万光年の範囲に数千個の銀河が写されている
(ハッブル望遠鏡/NASA提供)
画像をクリック(拡大)
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/~shibata/yamashin/211-fig2.jpg